02. 倭人在 - 最初の読み過ごし
倭人傳の書き出しを虚心に読む限り、「倭人」の所在は明解です。
「倭人在帶方東南」
帯方郡は、朝鮮半島西北部、後の漢城付近ないしはしその北方に存在したと思われるので、その東南と言えば、現在の九州(だけ)を指しているのは、明解そのものです。
現在の本州は、帯方郡の東南方向に近い角度に西端があるものの、そこから東北方向にかけて長々と伸びていて「東南方向」の圏外です。三世紀にも、その程度の認識はあったでしょう。
と言うことで、魏志倭人傳が、倭人の國を九州島(だけ)と理解して書かれたことは、まことに明解です。
なお、韓傳も、冒頭で帯方郡を基準とした地理関係を明確にしています。
韓傳:「韓在帶方之南」
三国志の上申を受けた晋朝皇帝や政府高官は、何よりもまず、東夷の「所在」を知りたがり、更に関心があれば、以降の記事を読み進めるものであり、それを予測している史官は、史書の編纂に当たって、冒頭数文字に地理情報を凝縮したのです。
以上
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