07. 世有王 - 読み過ごされた「京都」
「世有王,皆統屬女王國,郡使往來常所駐」
伊都國は、戸数千余戸と書かれているように、決して大国でないのに、代々王を出して指導的立場を保持していたのは、金属製武器で武装した強兵を有し、周辺諸国から公租を取り立てる権力を保持していたものと見受けられます。
一瞬、遠くギリシャの都市国家スパルタを思い出しますが、それほど極端な皆兵制度はなかったものと思います。
陸上交通で、扇の要を占めているとともに、海路移動で機動力を有していたものと思います。でなければ、他国を圧する「権力」は保持できないのですから。
伊都國の威勢が衰えたのは、時代の進展と共に、内陸の交通網が整備され、多数の武装兵で構成された遠征軍の長駆派遣が可能となったことによるものと思われます。
交通路が整備されると、平坦で耕作地に恵まれ、多数の壮丁を抱えた新興国の国力が増進し、それが人口増に結実し、曽ての交易大国が、その足下に屈するときが来たものと思われます。
それでも、「伊都國」の名称を保っていたので、傍目には、王都のように見えたことでしょう。それは、京都が、今日も「京都」であることにも通じるものです。
以上
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