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2014年9月 2日 (火)

30.内乱考(倭人余譚) 2 - 遠征談義

  • 不可能な使命

 とは言え、何らかの事情で、筑紫の倭國が、近畿に遠征することを考えてみる。
 筑紫から近畿に遠征するとしたら、片道数十日の行程であり、街道整備のされていない時代、その間、路なき路を行く苦難を強いられ、しかも、宿駅など整備されてはいないから、途中の各地に食料の備蓄はなく、食うや食わずであり、しかも、野宿となる。
 牛馬の兵站は望めないから、兵士たちは、その間、弓矢、剣矛、鎧などの武器や装備は、自ら運ばなければならないことになる。
 余程、軍隊としての統率ができていない限り、脱走が相次ぐはずである。

  • 迎撃の優位

 異国は、油断して斥候、物見を怠っていない限り、早々に遠征軍の到来を知ることができ、迎撃態勢を取ることが可能である。遠征に疲れた敵軍を、悠々と自国で迎え撃つという、相当有利な立場に立つのである。
 堅固な守りで、食料補充のままならない敵軍の衰弱を待てば、守備側の勝利は間違いないところである。
 歴史上の「遠征」は、数多く記されているが、必勝の信念で派遣されていても、なかなか克ちがたいものなのである。

  • 報いなき勝利

 なんとか、遠征先に辿り着き、異国との戦いに勝ったとしても、得られるものは、大した戦利品は見当たらないだろう。後世の宝物である、金銀、通貨、宝玉なら、敵国も珍重して収集しているだろうから、奪い甲斐もあるのだろうし、かさばらない獲物で、持ち帰り甲斐もあるだろうが、当時の経済事情で、そんな便利なものはあっただろうか。
 なお、倭國本国には、異国に勝利したとしても、そのような遠隔地を支配し続けるだけの能力も体制も備わっていないはずである。

  • 長い帰り道

 かくして、遠征軍は、路なき路を食うや食わずの野宿で凱旋するのである。
 してみると、奴隷とするための戦時捕虜を引き連れての凱旋帰国など論外である。あるとしたら、異国の幹部の捕虜であるが、それにしても、延々と連行することは、大きな負担となるだろう。
 加えて、戦闘に勝ったとしても、異国の報復追打を恐れる落ち武者のような旅でもある。
 また、道中の不届き者は、元気の良い往路ではし遠征軍を襲わないとしても、疲れてけが人のいる復路なら、待ち構えて「落ち武者狩り」するかも知れない。

  • 報いなき凱旋

 そのような数か月を要した難行で得た勝利であるから、凱旋した遠征軍の指揮官以下には、多大な褒賞が必要であるが、倭國の統治者は、その「財源」をどこに求めるのだろうか。
 古来、不平不満を抱えた軍隊ほど、統治者にとって危険なものはない。

  • 不可解な遠征

 いや、そもそも、筑紫と近畿、これほど隔絶し音信疎遠な国家関係で、筑紫から近畿に遠征軍を派遣しなければならないほどの利害の相克とは、どんなものだろうか。まして、物の道理として、筑紫の支配者とは言え、地域内に、「野党」勢力を抱えているのだから、大々的な遠征など、暴政ではないだろうか。

未完

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