今日の躓き石 「メアド」
2014/9/11
ここで、毎日新聞が、再三やり玉に挙がるのは、本論筆者が、長年定期購読して、まじめに読んでいるからであり、言い回しがきついのは、メディアとして信頼しているからである。
それにしても、毎日新聞の社会面見出しで、「非公開メアド」と地の書き方で叫ばれると、毎日さん、あんたとこだけは、信じていたのにな、と嘆きたくなる。
もちろん、ここで問題にしているのは、三文字カタカナの「メアド」である。
社会面は、一般読者を対象にしたものであり、一部マニアを対象にしたものではない。むしろ、ここでしか情報に接しない一般中の一般読者が対象の記事であろう。
何故、素人が見てわからない難解用語を使うのか。
「非公開メアド」は、どうやら、「インターネット上で公開されていないメールアドレス」ということらしい。と言うことは、「メールアドレス」が「メアド」になるらしいのだが、そうした略し方が愚劣であることとは別に、この文を見出しと結びつけて、難解見出しを解き明かしてくれるわけではないのが、不思議である。一方、SNSは、丹念に書き出している。
残念ながら、同ページに、「メアド」の解説はない。
これでは、一般読者は、途方に暮れるのではないか。毎日新聞の夕刊社会面の記事とも思えない。
もう一つ大事なのは、「メアド」が部外者の理解を阻む「隠語」、「符牒」の類い、つまり、全国紙に記載するのにふさわしくないダメ言葉だと言うことである。「メルアド」ならまだしも、三文字の呪文ではどうにもならない。
全国紙として、外来語の濫用がどうこう、カタカナ言葉の氾濫がどうこうと言う議論がいぜからあるが、それは、言葉として一人前の体を成している外来語、カタカナ言葉の話であり、ダメ言葉は論外である。
わずか三文字で意味のとれるカタカナ言葉は、とうに枯渇しているから、混同を避けるためには、意味不明、字面不良の、たちの悪い三文字しか残っていない。そんな言葉は、聞いても意味がとれないから、言ったものは得意になれるという「隠語」、「符牒」の仕掛けである。
ダメなものはダメである。
毎日新聞は、これまで厳として「同級生」を排斥しているように、「メアド」や「コスパ」のような愚劣な、間違い言葉の廃絶に挑んでいただければ幸いである。
本論筆者がこの記事に見出しをつけるとしたら「非公開アドレス」と言うだろう。
アドレスが、メールアドレスのことだというのは、自然に納得できるはずである。
普通に言えることを普通に言わないのは、個人の発言の場では、あり得るかも知れないが、言葉の守り人である全国紙がこれでは困るのである。
以上
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