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2014年9月16日 (火)

今日の躓き石 「キリで省エネ」

                                                          9/13 17:40
 NHKの「ルソンの壺」で「キリで省エネ」と言う小ネタ紹介があった。

 要は、水を(非常に粒の小さい)ミストにして吹き出すと、(即座に)蒸発・気化して、周辺の空気から気化熱を奪うので気温が下がり、涼しく感じるという話である。実際、その場で体感すれば、涼しくなったと感じるはずである。

 しかし、これは、古くからある錯覚の技で、しばらく、中学、高校に戻ったつもりで考えたら、おかしいとわかるはずである。

 水が気化して、その際に空気から気化熱を奪うのは、空気が水蒸気を取り込むからである。閉じた部屋で、ミストを出し続けていれば、すぐ、空気が飽和して水蒸気を取り込むのをやめるので、白い靄が消えなくなる。本当に、つかの間の話である。
 そりゃそうである。水を気化させ続けて、熱を奪い続けられるのなら、部屋に湿った洗濯物をたくさんつり下げて、扇風機で風を当てていれば、洗濯物は乾くし、室温は下がるし、一挙両得である。

 普通、そんなことをしないのは、すぐに、部屋の空気が湿って、飽和状態になり、洗濯物が乾かなくなるからである。そうなると、室温も下がらない。
 と言って、窓を開けて乾いた空気と入れ替えると、室温がまた上がってしまう。

 それに加えて、体感という問題がある。気温が下がっても空気が湿ってくると、汗の乾きがが悪くなるので、体感として、蒸し暑い感じに変わる気温だけでは、体感を語れないのである。
 結局、室内でのミスト散布は、まるで気持ちよくないのである。

 玄関先の打ち水や街路でのミスト散布は、見た目が涼しげで、つかの間、気温も下がるので、いいような気がするが、開放されている玄関先や街路を冷房することは無いので、実際は役に立たないことになる。
 あくまで通りすがりの行きずりの「涼感」である。

 なお、古くから、砂漠地帯などの乾燥した場所では、濡れタオルに風を送って、風の温度を室温より下げ、人のいる方に吹き出すことで、涼感を持続する「デザートクーラー」というものがある。これは、使う環境の湿度が非常に低くて、多少水分が蒸発しても飽和しないのと、部屋が広くて、室内に湿気がたまらないから、扇風機よりは冷風の感じられるものなのだ。
 気の利いた発明であるが、日本のじとじとする夏、狭い部屋では、無理である。

 結局、この小ネタは、耳たこの「没」ネタである。

以上

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