今日の躓き石 「歴史を変える」
2014/09/30
例によって、日々愛読している毎日新聞のスポーツ欄の記事の批評である。
復習すると、これは、たまたま、この場で目についたと言うだけで、広く言われている言葉間違いだと言うことは知っている。たまたま、きっかけになっただけである。そして、ここで殊更に指摘するのは、毎日新聞は、聞く耳を持っていると考えるからである。
今回は、記事本体の中で、国立大野球チームの選手の発言の一部が、「」入りで引用されているので、担当記者は、報道の勤めを果たしただけなのだろうが、それで良いのだろうか。
全国紙の紙面で報道されたと言うことは、全国紙の紙面を飾るための厳格な基準を満たした正しい言い方と誤解され、それが、関係者の誤解に加担し、続く世代に広く誤解を伝え、ついには、誤解を正解にしてしまうことが大いに懸念される。
先般、慣用表現の誤解が広がり、むしろ定着していることが報道され、心あるものたちの嘆きを掻き立てたが、そのように誤解の広がる一因が、全国紙で誤解が強く指摘されないことも作用しているものと思われる。誤用のその場で指摘しなければならないのである。
報道は、引用が正確であればそれで良いのでは無いと、つくづく思うのである。
元に戻ると、「歴史を変える」と言う誤用が深刻なのは、これが、「歴史の捏造」を連想させるからである。変えられるものなら、創作も、偽造もできることになる。
歴史は、厳然として存在し続けるものであり、現代人が何かしでかしたら書き変えられるものではない。
人が、歴史をどう見るか、どう見たかというのは、その人、その人次第だが、その人が何か発言するたびに、歴史そのものが変わっているわけではない。人の心の中に描かれた歴史像の問題である。
それにしても、大学生ともあろうものが、なぜ、「歴史に新たなページを刻む」のような妥当な言い方ができないのだろうか、とその軽率さを嘆くのである。
そして、記者は、なぜ、軽率な発言の粗雑な言葉遣いを地の文で言い換えてあげなかったのだろうか。担当記者の配慮不足と言いたい。
京都は、その字義から見ると日本の首都であり、その地にある国立大学は、数ある国立大学の中でも日本一の最高学府である。体育会系学生と言えども、その名に恥じない知性を求められるのである。
以上
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