今日の躓き石 「トースト」 阪和辞典ネタ
2014/10/10
本論筆者は、愛媛県の東の端で生まれ育ったが、大阪に出てきて40年以上になるので、万事大阪調になっているのは言うまでもない。お国言葉は大抵忘れてしまっている。
と言うことで、今回は、大阪弁の困った言い回しの話である。誰かが個人的にどうこうしたというわけではない。
大阪で「トースト」は、薄切り食パンである。これは、当初、うかつに言い間違えて、友達にしかられたものである。これは相当衝撃で、いまだに、スーパーのチラシなどで見かけて、戸惑うのである。
大阪語のトーストで困るのは、トーストを食べる手順の言い方である。
トーストをトースターでこんがり焼いて(トーストして)バタートーストとかにして頂くものなのだが、焼く前と焼いた後とどちらもトーストなのである。
いや、そんなことは、大阪人なら使い分けていて、喫茶店のモーニングサービスのトーストは、ちゃんと焼いてある、と言うだろうが、これが、英語になるとどうにもならない。
大阪で一流のさる公立大学の国際交流のプレゼンテーション資料を見たことがあるのだが、食パンをトースターではない特別な調理器で焼くという手順の説明で、まず、食パンの写真が出てくるのに"toast"と書かれていたのである。
見ている方(オーストラリア人)はびっくりしたことだろう。すでにトーストしてある食パンを、さらに焼くというのは、どういうことなのかと不審に思ったはずである。
率直(sincere)な聴衆であれば、どういうことなのか、突っ込み(質問)を入れ、その場で真相が明らかになっただろうが、儀礼的(polite)に黙認されたら、発表者は、自分の言い間違いに気づかないままに終わったことだろう。
言い間違いをして、その場で指摘してもらえたら、気ー悪い(不愉快な)のは、学生時代の思い出の中に紛れるだろうが、そのまま通り過ぎて、もっと大事な場で間違いとの指摘に直面したら、被害は大きくなるものであり、なかなか癒えない心の傷(トローマ)になりかねない。だから、こうして言い立てているのである。
大阪は、国際化しようとしているようだが、大阪人が日常使用している言葉と標準語の違いをよく調べておかないと、年寄りだけでなく、将来ある若者まで躓くことになりかねない。
近い将来編纂されるであろう「阪英辞典」(大阪語英語辞典)や「阪和辞典」(大阪語日本語辞典)には、是非、トーストの記事を載せて欲しいものである。
以上
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