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2014年10月12日 (日)

今日の躓き石 「パターが良く」

                              2014/10/12
 毎度のことであるが、 今回指摘する記事は、毎日新聞スポーツ欄の一部であるが、選手談話の形であるから、本人の発言が報道されただけであり、毎日新聞の責任ではないと思われる。
 ただし、ことが外国人の談話であるので、本人の日本語での談話の言葉がそのまま書かれているのか、原語が新聞社の手によって翻訳されたものかわからない。
 これまで、民放テレビのプロ野球中継で、選手談話が報道される際に、外国人選手の言葉が「うれしいです。」といった感じの子供じみた言葉になっていて、誰か、ちゃんとした日本語を教えてやれよ、と思ったものである。外国人選手で、子供言葉がふさわしい選手などいないはずである。ギャグ受け狙いならともかく、一流のプロ選手は、一流のプロ選手にふさわしい言葉遣いが期待されるのである。まあ、確たる見識が見て取れない民放テレビ局なら仕方ないのとも思うが、差別発言(民ハラ)になるので、これ以上は掘り下げない。

 当たり前の話なので、蒸し返すのが心苦しいが、日本語は、言葉遣いの選定で、話者の品格が深いところまで推察されてしまうので、不用意な通訳、翻訳は、話者の真意から遠ざかってしまうことが多い。

 好スコアの原因として、「パターが良」かったということは、特定のブランドの特定の品番の「良い」パターを使用することによって、スコアが目覚ましく改善されたというのだろうか。クラブメーカーとして、光栄この上ない発言だろう。いや、これは、ゴルフ界固有の伝統的な言い回しであって、ふつうの言葉遣いでいえば、「パットが狙い通り決まった」ということなのだろう。なぜ、だれに対しても、誤解なく伝わる普通の言葉遣いをしないのだろうか。

 事実に忠実な報道という使命はともかく、日本語に不慣れな外国人選手が不用意な言葉遣いをしたときは、さりげなく是正して、当人が、間違った言葉遣いをして日本語を乱れさせる不届きな外国人として記録と記憶にとどまることがないよう、適切な配慮でさりげなく是正してあげるような高度な配慮が不足していたのではないかと思われる。話者の意図は、このような異常な言葉遣いをすることにあったのではなく、普通の言葉遣いで伝えられるべきものであったと理解され、新聞としては、形式的に、発言の言葉そのままを伝えるのではなく、発言者の意図する「真実」を伝えるのが、真の意味での報道というものではないだろうか。この躓き石は、掘れども掘れども根が深いのである。

 因みに、こうした異常な(一般常識に反したという意味である)用語が、根強くゴルフ界に定着しているのは、相当有力なプレーヤーがこうした語法の常習者であり、いかなる批判も受け付けないどころか、そんな偉材の不興を買っては、業界で排斥されるという危惧が流布しているものと懸念される。

 かくして、裸の王様は、大人になっても、年寄りになっても、裸のままである。
 周囲の良識ある人は、誠実(sincere)でなく、保身に囚われた不誠実(insincere)な人たちばかりなのだろうか。

 いずれは、ゴルフ界に汚点を深く刻み付けたまま、去っていく宿命を負わされているのだろうか。

以上

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