今日の躓き石 「名人戦」ネタ
2015/03/10
今回は、愛読している毎日新聞ネタです。(手違いで公開が遅れました)
「名人戦」というのは、ここでは、将棋名人戦、つまり、言うまでもなく、毎日新聞と朝日新聞が共同主催している、最も長く続いているタイトル戦です。
ということで、毎日新聞は、主催紙として、前評判を盛り上げる記事を載せているのですが、今回、夕刊芸能面(大阪本社3版)の記事は、まずは、見出しが大きく揺らめいています。
「羽生名人挑戦 誰に」と大書されているのにぐらりとします。
この字面だけ見ると、普通の感覚では「羽生名人」が「挑戦」する相手は「誰に」なるのかと読めてしまいます。ほんの一瞬ですが、意味を取り損ねます。まだしも、「羽生名人に挑戦 誰か」としておけば、誤読は大分減るでしょう。
そして、小さな別署名記事の小見出しが驚愕の的です。
- 「チェス採用」
「チェス採用」とは、普通、「チェス」を「採用」と読み取るものであり、今回の名人戦は、チェスで戦うのかと思ってしまいます。ついでに、長年の議論が解決して、椅子対局になるのか、などと考えます。
因みに、趣味多彩な将棋プロ棋士の中でも、羽生名人のチェスの棋力は抜群で、誰が挑戦しても、まるで勝負にならないのではないかと思ったのです。
ほんの一瞬ですが、意味を取り損ねます。
続いて、不穏な言葉が出ています。
- 「実力数値化」
これは、「実力」を「数値化」すると読み取るものでしょう。本当に、各プロ棋士の「実力」が数値化できるのなら殊更のタイトル争いは意味を失いかねません。
全棋士間の戦いの結果を数値化して、第一位にタイトルを与えれば良いのです。
既に「チェス採用」とあるので、解釈が迷走しそうです。
- 「チェス」という方式により棋士の「実力」を「数値化」することが、将棋連盟に公式採用されるのかと早合点してしまいます。
しかし、ちょっと考えると、各タイトル戦の主催者(全国紙各社、地方紙連合、およびスポーツ紙)が、一主催者である毎日新聞が「独自」に採用した方式による数値化に賛成するかどうか疑問です。
ここでも、出典として「国際チェス連盟など」と言うだけで、素人目には根拠も信頼も不明の数値を、勝手に権威めかして振り回し、もっともらしい議論を進めていますが、読者は検証も反論もできない、まこちとに勝手なものです。
因みに、これも愛読している将棋専門紙「週刊将棋」は、女流棋士の「ポイント」は集計していますが、プロ棋士のポイントランキングは、掲載していないのです。
プロ棋士のランキングめいたものは、獲得賞金年間ランキング(年一度公表)だけです。
これは、各主催紙が支払っている賞金に依存するので、自社のウェイトを高めたければ、優勝賞金を増やせば良いという所に帰着するので、公表しても、特に問題はなかろうと言うことのようです。
とは言うものの、依然として、各プロ棋士の過去五年間の成績から算出できるのは、どんな相手と闘って、どれだけ勝って、どれだけ負けたかと言うことの集積ということのようですが、それが、「実力」とある程度の相関関係を持っているというのは、一つの作業仮説に過ぎないのです。
過去のタイトル戦で、開始直前の両者の「レーティング」とタイトル戦の結果がどう結びついているか、謎めかしているままです。「オカルト」や「ガセ」とまでは言わないが、「とんでも科学」の一種ではないでしょうか。
況んや、タイトル戦は、その期間の両対局者の「実力」の戦いであり、5年分の過去データがどこまで役に立つのか、何度も言うが、丁寧な検証が必要です。
毎日新聞が、野次馬の下馬評に科学めいた粉飾を施して、善良な購読者をまどわすのは、感心しないこと夥しいのです。
以上、躓き石どころか進路をふさぐレンガの壁のような代物ですが、ここでは無謀にも素人考えで異論を投げかけるのです。
以上
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