今日の躓き石 「メンタル」
2015/03/07
いや、新しいネタではありません。
最近、NHKニュースの字幕で「メンタル」とカタカナ4文字が見えたので、耳を澄まして聞き取ると、「メンタルヘルス」の話題とわかりました。
一般人向けのニュースなので、表現に配慮していますが、「メンタルヘルス」の問題と言うことは、「こころのやまい」と言うことになります。
実際、メンタルが健康な人は、ニュースで採り上げるものではないのです。
数日前にも、毎日新聞の地域面だったかの小見出しで、「メンタル」のとカタカナ4文字が見えたので、記事の内容に注目したのですが、やはり採り上げられているのは、「メンタルヘルス」の問題と言うことでした。
つまり、両メディアでは、放送ないしは紙上で、「メンタル」と書かれているときは、同じ概念を思い出すことが予定されているように思うのです。
ここまで、スポーツ界の業界方言(方言が悪いと言っているのではないですよ)が、無調整で一般人に拡散することの危険を説いていますが、両メディア共に、スポーツ関係者の発言をたしなめもせずに報道しているので、同じ言葉を目にしたとき、あるいは、耳にしたときに、何を思うか、安定していないのです。言葉の守り人が必要です。
私見では、いずれかのテレビ番組で、思慮深く言い換えていたように、プレーヤーの気持ちの問題は、日本語でそのように言うべきであり、安易に「メンタル」と言い放つべきではないように思います。スポーツ選手が、社会人として尊敬される言葉遣いは、そうあるべきです。
因みに、スポーツ関係者の発言で不思議なのは、「メンタル」(心理)と「フィジカル」(体力)の二要素が声高に言われるだけで、技術面(art)、芸術面(art)への言及がないと言うことです。
伝統的な言い方で言うと、「心・技・体」の三要素がそろっているのが、良い「選手」の備えるべき特質でした。「心」は、結局は「平常心」であり、「体」は、「力」以外に俊敏さを求められていたように思います。そうした「古い」見方は、「世界」に通用するスポーツ選手には、不要なのでしようか。
新しい言葉遣いで、新しい視野が開けたとしても、それまで長く養ってきた言葉遣いが乱れ、大事にしていた概念が念頭から、後生に伝わらないままに消え去ってしまうようでは、新しい言葉遣いによって、スポーツ「文化」が後退したことになるように思います。
正直言って、スポーツ選手が、いくら、ファイト満々で、体力もりもりでも、技術的に未熟であるとき、あるいは、スポーツらしい美的センスがないときは、スポーツ選手の価値を低く見てしまいます。
そうした大人の視点を取り戻すように、若者達を導くのも、メディアの使命であるように思います。
以上
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