今日の躓き石 「リベンジ」 滅ぼすべし
2015/03/25
まことに情けないことだが、天下の毎日新聞もスポーツ欄は校閲のない治外法権なのかと長嘆息である。
大阪版本日夕刊のスポーツ面(7面)の中央やや下部の目立つところに、「リベンジ」と大書されている。
一瞬、またアスリートの不用意な発言を無思慮に書き連ねているのかと思ったが、そうではなかった。
ここでの話題は、人を殺すの殺されるのと言う殺伐な話ではなく、また、対戦スポーツではないので、負けた仕返しに誰かを叩きのめすという剣呑な話でもない。前回の競技で、不本位な成績にとどまって(自分自身の不出来に対して)くやしい思いをしていたので、今度は、頑張るというだけであった。まだ、本番はこれからなので、今は、静かに拍手を送りたいものである。
記事の引用である。
それから3カ月。「全日本でくやしい思いをした。与えられたチャンスを無駄にしない。」
と述懐している。
どこにも、不当な成り行きに対して、(モーツァルトの「夜の女王」のように)復讐に燃えるという趣旨は見られない。それはそうである。自分の演技が至らなかったから、低い成績になったと自覚して、「心・技・体」を再度高めようとしているのである。一流の選手は、無用な敵愾心や闘志で自分を駆り立てる人ばかりではないはずだ。
それを、見出しで「リベンジ」と創作して貶めているのは、当記事を書いた記者の品格の問題である。報道機関として、不当な行為ではないだろうか。
一体に、スポーツ系のジャーナリズムは、「リベンジ」という重大な言葉に対して鈍感になりすぎているようだ。リベンジは「復讐」である。大抵は、生死に関わる事項である。 そして、「復讐」は、社会の根幹である司法の働きを否定する私刑である。
そのような無法な反社会行為は、決して許されるべきではない。
報道機関は、安易な言葉の使い崩しで、反社会的な行為を賛美する風潮を助長すべきではないと感じるのである。
以上
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