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2015年4月17日 (金)

今日の躓き石 「フィジカル、スピード」って なんのこと

                                  2015/04/17
 例によって、毎日新聞の姿勢とスポーツ欄の書きぶりは、大きく食い違っていて、こうして批判されるのである。

 4月17日付毎日新聞大阪版スポーツ面で、Jリーグ戦の記事に視察しいてた日本代表監督のが先日、「Jリーグはフィジカル、スピードが足りない」と語ったと引用されているが、まことに不可解である。

 監督は、日本語でしゃべったとは思えないし、また、英語でしゃべったとも思えないのだが、それでも、通訳された言葉が報道され、各チームの選手は、その通訳された言葉言葉を受け止めているので、監督は、通訳され、文字で書かれた日本語の言葉に対して責任があるはずである。つまり、自身の理解する英単語が、日本語になってどう伝えられれば、正確に理解されるかと言うことに、責任があると言うことである。

 各クラブの社長に対して「訴えた」と言うことは、明確な意味が伝わらなければならないはずであり、その場で、口に出して、通訳の言葉に委ねたとも思えない。

 多分、事前に書き出した内容を日本語に翻訳し、文書の形で手渡したとも思えるのだが、そこまで慎重に取り組んだとしたら、ここに引用されたように意味不明になるまで言葉を端折った意図がわからないのである。
 重ねて言うが、確実な意思の疎通は、監督の責任である。

 率直に言うと、この言葉は、日本語として意味不明なのである。

 「Jリーグは」と切り出しているのは、組織の運営を指しているのでなく、Jリーグ各チームの戦いを批判しているのだとは、思い巡らすことはできるが、以下の言葉は、何のことやら意味が通らない。

 「フィジカル、スピード」と「、」で区切られているが、通訳は、ここで、「、」といったはずもなく、文書を渡したのでなければ、聞き取ったものの解釈と見るしかない。しかし、「フィジカル、スピード」を英語の「physical,speed」と見ても、意味がわからない。不足しているのは、身体的なスピードなのか、別の何かなのか。いくら辞書を引いても不可解である。

 記者は、この言葉の思いが届いたか、といっているので、何か暗号めいたものが通用しているのかも知れないが、一般読者にはわからないのである。

 因みに、前半の戦評で書かれているのは、心理的なもの、情緒的なものであり、同点に追いつかれて、危機感が沸き立ったことが書かれているのであり、監督の思いは、そこにはないように思うのである。

 最後に選手の談話で述べられているのは、単に、「速い」プレーであり、監督が被せた「フィジカル」の冠が取れているから、監督の訴えが伝わったとは、とても思えない。大体、90分間走り続けるスタミナは、当然、子供時代から各選手に求められているし、プレーヤーの走る速度は、最高のものを求められているのは、これまた子供にも自明である。今更、取り立てて言うほどのものではない。

 これでは、言葉の意味だけでなく、文章としての意味が通じていないから、一般読者には、どうにも読み解けない謎となる。こうした首尾一貫しない、意味不明の言葉を掘り下げて伝えない、粗雑な書きぶりは、毎日新聞の報道姿勢に反していると感じるのである。

 因みに、過去の各種報道を見渡すと、サッカーに於ける「フィジカル」は、多くの場合で「ハードコンタクト」と思う。世界レベルで言えば、Jリーグのブレーは、当たりが弱いと見られているのかも知れないのである。子供時代から戦い続けているメンバーの多い国内リーグでは、相手を傷つけない「思いやり」のプレーをしていて、これでは、国際試合での相手方の当たりの強さにめげてしまうのではないか、という意見とも思える。

 そうでなければ、監督が、「フィジカル、スピード」と「、」で区切って、二つの概念を伝えようとした意味が通らない。

 以前の国際試合で、日本人フォワードが背後から相手方ゴールキーパーの尾てい骨割り膝蹴りを受けて重傷を負った事例を思い出す次第である。ここまで来ると、限りなく犯罪行為とも思うが、当の日本人フォワードは、重要な国際試合ではこうした「削り」を受けるのは、覚悟しておくべきであった、油断して無防備な背中を晒したのが悪いと感じたようで、何もアピールしなかったらしい。

 そこまで行かなくても、国際基準は「目には目を」、受けた被害をそのまま返す程度は暗黙のルールの認めるところという気がするのである。そんな素人考えが正しいかどうかは別として、毎日新聞として、「フィジカル、スピード」の真意を掘り下げて報道して欲しいものである。

 毎日新聞が求めているものは、掘り下げた報道であり、かつ、一般人に伝わる報道であると信じるので、あえて苦言を書き連ねるのである。

以上

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