« YouTube著作権騒動 2015年4月最新情報 | トップページ | 今日の躓き石 「フィジカル、スピード」って なんのこと »

2015年4月15日 (水)

今日の躓き石 「和製英語」 「字件ですよ!」

                                 2015/04/15
 今回の題材は、毎日新聞の「くらしナビ」面の名物記事であり、毎回敬意を払って読ませていただいている、我がお手本とも仰ぎたい記事である。

 今回も、抑制の利いた筆致で、的確に問題を指摘しているのだが、抑制しすぎて、せっかちな読者が読み過ごしてしまいそうで、もったいないと思うことがある。

 今回は、まず、「球団」という至って普通用語と思える言葉が、プロ野球界の「商標」(いや「専売特許」か)めいた専用の言葉であって、サッカーなどでは使用しないことになっていることが語られる。一種の既得権なのだろうか。当方は不明にして、そうとは知らなかった。

 長年、日本のプロスポーツは、野球と相撲の二大陣営が君臨していたので、プロ野球界がこうした言葉の使用を「独占」していたのは理解できるが、サッカーがプロ化し、バスケットボールも追いかけそう、といった時代であるから、「球団」の限定的な使用は、見直していいのではないかと思う。

 ついでに言うと、この話題の最後で登場する「存在感」なる言葉も、勝手な造語で文意を混乱させる悪玉であり、天下の毎日新聞なら、適切な言葉に言い換えて欲しいものである。「存在感を放っている」(「示している」ではないのだろうか、それとも、「存在感」は、「放っている」で受けよとマニュアルに書いてあるのだろうか.)と来ると、言葉は二重の混乱に陥っているのである。

 次は、当方が持ち出しているカタカナ造語の話題であり、野球が過去「大量の和製英語に彩られた」とさりげなく語っているが、事の真相は、大量の勝手な造語で汚染された、いや、現に汚染されている、と言いたかったのではないかと思う。

 一メディアが、全国民の言葉遣いを指導できるわけもなく、控えめに語らざるを得ないのは理解できる。当ブログのように、一個人が私見を語るのとは、重みが違うのである。

 こうして、「言葉の守り人」が、重みのある至言を語っているのに、深く敬意を払うのであるが、「和製英語」という慣用表現には、不遜を承知で、あえて異議を唱えたいのである。

 「英語」は、連合王国(英国)と合衆国(米国)の公用語であり、世界で広く通用している確固たる存在である。日本のスポーツ界の用語が、和製の英語を製造できるはずがなく、現に、英国、米国で、和製の英語が通用してはいない。あくまで、日本の一部で通用している勝手な造語である、としか言えないはずである。「和製英語」などという言葉は、死語にして欲しいものである。

 因みに、昨深夜のBS1の海外スポーツ番組で、MLB(メジャーリーグ)でワールドシリーズ制覇の実績があり、安易な精神論を振り回さない、知性的なコメンテーターが「セットアッパー」なる造語を口にしたのに、大変不満を感じているのである。近年、海外との交流が盛んとなり、また、通信、情報検索で、「英語」を確かめられるはずの世界で、勝手な造語が蔓延っていて、それを止めようとする目立った活動が成されていないのに、一私人は、不満なのである。

 今回の記事でも、数少ない「和製英語」を一つずつ減らそうとするサッカー界の取り組みが賞賛されているが、野球界で同様の取り組みがされるべきだとは言わないのである。野球界には自律的な浄化力がない上に、外部から指摘されると 意地になって、却って、「和製英語」に固執するのではないか、とはなから、諦めているのかとも見える。マスメディア大手が球団経営に取り組んでいるから、メディアの良心は通用するはずであり、当方の杞憂と思うが、正直、背景はよくわからない。

 当方としては、密かに「風向きが変わる」ことを望みたいのである。人は、慣用表現の因習に気づいたときは、(年配層からの抵抗があっても)決然と一層の高みを目指すものだと思いたいのである。

以上

« YouTube著作権騒動 2015年4月最新情報 | トップページ | 今日の躓き石 「フィジカル、スピード」って なんのこと »

今日の躓き石」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今日の躓き石 「和製英語」 「字件ですよ!」:

« YouTube著作権騒動 2015年4月最新情報 | トップページ | 今日の躓き石 「フィジカル、スピード」って なんのこと »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道 2017
    途中経過です
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝新考察
    第二グループです
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は歴史学・考古学・民俗学研究機関ですが、「魏志倭人伝」関連広報活動(テレビ番組)に限定しています。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 資料倉庫
    主として、古代史関係資料の書庫です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 陳寿小論 2022
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
無料ブログはココログ