今日の躓き石 『心身とも「アレルギーなし」』 とは??
2015/05/04
今回は、2015年5月4日付毎日新聞スポーツ欄の記事に仰天して、半日、どう対応するか、悩まされた。
今回のスポーツ欄のやり玉は、大見出しでこそないものの、立派な見出しであり、十分目に付くものであった。
心身とも「アレルギーなし」
と言うもので、一見、卓球世界選手権で好成績を収めた14歳の選手の健康体を誇っているように見えた。いや、それにしても、「心」のアレルギーとは何のことかと足をとどめさせるのである。
よく読んでみると、事態は深刻であった。男子監督の言葉として「中国アレルギー」が引用されていて、この言葉は、日本選手が中国選手に勝てないことを正当化する堂々たる理由として、卓球界の代表的な権威を持った言葉と示されている。
この発言のフォローはないのだが、どうも、「監督」の認識として、日本選手が中国選手に勝てないのは、心身のアレルギーがあるから(当然)だということなのだろう。(つまり、心技体で劣っていないのだから、「それ」さえなければ勝てると確信しているようである)
いくつか疑問が、湧いてくるのである。中国側は、素質に優れた多数の選手を苛烈に競わせつつ、戦略面を含めて合理的に鍛え上げて、世界一の卓球選手軍団を形成していて、しかも、心技体で劣っている(と思われる)日本選手を、とことん研究しているから、素人目には、勝つべくして勝っているという印象を受けるのである。
それを、指導層は、日本選手が勝てないのは、「中国アレルギー」のせいだと片付けているように見える。
言われる選手もエライ迷惑である、技術的に足りないところがあるのなら、それを補うすべもあるだろうが、「アレルギー」と片付けられては、最初から勝てないと見放されているようなものである。負けて当然では、闘いようがない。
ここで、奇異に思うのは、心身のアレルギーである。そんなものは、あるのだろうか。身体のアレルギーも相当な難物であるが、心のアレルギーは、何を言おうとしているのか、不明である。
アレルギーは、当人の体の細菌や毒物に対する防衛反応が、特定のアレルギー源物質(アレルゲン)に過敏に反応するものと考えている。
そのような体質は、自分の体の一部なので取り除くことはできず、確実な対策としては、アレルゲンとの接触を避けるしかないことになる。「中国アレルギー」と断定されたら、どんなに努力しても、中国選手とまともに闘うことはできないことになる。ここにあげられた選手としては、監督から見放されたようなものであり、たまったものではないのではないか。
どうも、監督の「アレルギー」世界観は、医学的にも、世間知的にも、不当なもののように思える。アレルギー体質に悩まされている人たちにとっては、「アレルギーハラスメント」ではないのだろうか。アレルギー体質の人の意見も聞きたいものである。
とは言え、もっと問題が大きいのは、全国紙である毎日新聞の報道姿勢である。スポーツ関係者の発言に偏見めいた言いぐさが多いのは周知である。セクハラやら何やら、とても、大人の言葉と思えない無残な言葉が伝統的に出回っていて、時としてこのように露呈するものである。それがそのまま報道されると言うことは、担当記者が体育会系の物言いの常として受け入れていることを示しているのかも知れない。
このように、不合理・不適切な発言を不合理・不適切と見ずに、堂々と報道すると言うことは、毎日新聞が、そのような言いぐさを正統なものとして是認して、さらなる普及と次世代への継承に手を貸していることになる。それは、毎日新聞の会社方針に反しているのではないだろうか。
因みに、こうした心理的な「問題」は、古くは、「**コンプレックス」とか「**恐怖症」とか形容されていたものである。コンプレックスも、恐怖症も、自分の努力だけで克服するのは、大変なものなのだが、専門家の指導を受ければ、時間はかかっても、ある程度緩和できそうな感じがするのである。
以上
ま
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