今日の躓き石 CEA goes mirrorles, so what?
2015/06/11
いや、今回は、全く個人的な感性に基づく意見であり、根拠のない偏見と見なされても仕方無いものです。とは言え、何とも、悲しい知らせを聞いたものです。
全米家電協会、カメラ分類名に「ミラーレス」を採用
呼称問題が一歩前進か 日本のCIPAは“ノンレフレックス”
いえいえ、記事を報道したデジカメ Watchに、不平不満があるわけではないのです。ただし、「前進」という言葉には、若干疑問がありますが、まあ、仕方ないでしよう。(いや、不満はあるのだけれど、無理ないとも思えるのです)
以前、現役時代に商品企画担当や商標担当(いえ、カメラは、長年の趣味であり、業界人ではありません。念のため)をしていたことから、ネーミングに関する感性を研ぎ澄ましていたものだから、「ミラーレス」というネーミングは、どうにも、感心しないどころか、不適切だと思うのです。
**レスという言葉で、誰でも思いつくのは、「ステンレス」という言葉と思います。つまり、**レスの**は、滅ぼすべき欠点です。
ステンレスは、ちゃんと全部言うと、ステンレススティールと言って、2000年以上にわたって「鉄」の宿命的な欠点とされていた、汚らしいさびの出ないいつまでも美しい鋼板という意味であり、ネーミングそのものが、特徴表現になっていて、まことに見事なネーミングです。
では、「ミラーレス」のミラーは欠点なのでしょうか。そんなことはありません。無用の存在、滅ぼされるべき欠点だとしたら、DLSR(一眼レフ)は、欠点を抱えた滅ぶべき存在なのでしようか。そんなことはありません。
だから、カタカナ日本語で、「ミラーレス」と名付けた人(昔風に言うと「仕掛け人」か)は、本質的に一眼レフ撲滅論者だったのでしょうが、当の攻撃対象であるSLRのトップメーカーは、当業界のリーダー達と思うのですが、このような曲がったネーミングに、何となく同調したらしい(反対したと聞こえてこない)のは、嘆かわしいことです。いや、CIPAのこだわりは、そんなことわかっているよ、との意思表明なのでしようか。
新製品、あるいは、新技術につけるネーミングは、世界に対して新たに提供する特徴機能を高々と歌い上げるべきものであり、先行している先輩の成功と名声をねたんで、その足を引っ張るものにすべきではないと思うのです。
その意味で、ノンレフレックスというのはまだ不満があるのですが、ネガティブキャンペーンを露骨に打ち出した「ミラーレス」(ミラーレス撲滅論)より「まし」と思うのです。
そして、今回英語を母国語とする米国の業界団体が、Mirrorlessをcategoryとして採用したというのは、なんとも嘆かわしいものと、一人で歎いています。英語で言うなら、What a shame, CEA!でしょう。
彼らには、米国英語に対する愛着も、SLRに対する尊敬もないのでしようか。
確かに、DLSRの基礎となったSLRカテゴリーは、日本のカメラメーカー(複数)が、ドイツ系のレンズ交換式レンジファインダーカメラに対抗して開発し、鉄壁と見えた堂々たる牙城を乗り越え、それ以来、長年にわたって発展、維持させ、ついには、今日の盛況まで発展させたものであり、米国の業界団体の発展は、ほぼ、日本のカメラメーカーの功績であり、その日本のカメラメーカー達がMirrolessと言いたくてしょうがないのだから、賛成するしかない、泣く子と何とかには勝てない、あるいは、You can't argue Capitol Hill. とでも言うのでしようか。
今回は、デジカメWatchまで、いつの間にか時流に降伏していたというので、かくして、当方は孤立して、こんな意味不明の悪態をつくしか無いのでしょう。
それにしても、ネーミングの真意を聞かされていない読者の大勢がどうだから、とか、当ネーミングの仕掛け人に付和雷同しているマスメディア全体がどうだから、とか言うのは、報道者としての気骨を失った潔くない対応と思うのです。
今日は、大変悲しい一日になりそうです。
以上
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