今日の躓き石 「大手」は「リ**ジチャンス」
2015/07/29
珍しく、毎日新聞大阪版③③南版大阪面「河内」と書かれたページに、トップ扱いのでかい見出しが躍っていた。どんと目に入る「好投で大手」とは、どんなつもりで書いたのか。意味不明である。
それより、気になるのは、監督談話として「リ**ジするチャンス」をつかんだと書かれていることである。曰く付きの禁句を言い立てているのがそのまま報道されている。たしなめてあげるべきだった。
しかも、この使い方は、近来球界で蔓延している「リ**ジ」の用法から外れている。多分英語の教養が邪魔したのだろうが、正しくは、決勝進出したことですでに「リ**ジ」できているのである。つまり、一度失敗したことに再挑戦(リトライ、ないしはリチャレンジ)するのを「リ**ジ」と言うのが、世間に蔓延る大輔用法なのである。決して、復讐行為を指しているのではない。
当方も、その辺りの意味のずれを殊更言い立てると、言葉の誤用を非難して正しい「リ**ジ」を推奨しているのかと誤解されかねないので、ずっと原意を言い立てて非難しているのだが、詳しく言うとそういうことである。
ともあれ、全国紙記者は、例え、地方版の片隅であろうと、子供達に悪い言葉を伝えないように努めて欲しいものである。
参考までに、スポーツ面の記事では、監督談話は、「これでようやく(初戦敗退を喫した)昨年の借りを返せる場に立てる。何とか勝ちたい。」と謙虚かつ丁寧である。決勝で相手に勝つことが、正統な報復行為だと傲慢に言い立ててはいない。
監督の口から出た言葉がどうだったかは知らないが、スポーツ面での報道は、真意を、監督の品格にふさわしい言葉で報道したものと思うのである。こうして両者を比較すると、毎日新聞の品格がうかがわれて、賛嘆を惜しまない。
余談であるが、当方は、長年の将棋愛好家であるので、地方版大見出しのように、誇らしく、「大手(おおて)」とか「王手(おうて)」とか言い立てるのは、気に入らないのである。
王手は、大抵の場合相手に回避されて、ただ追い回しているだけの「追う手(おうて)」になって、王手が続かなくなった途端、逆に詰められてしまうことがとても多いのである。だから、上手な指し手は、できるだけ王手をかけずに進めるのである。
とはいえ、まことにわかりにくい余談であったかなと思う。
原意を離れて一人歩きする比喩というのは、時として、度しがたい誤解を呼んでいるものである。
事のついでながら、将棋の類推を追加すると、記者と棋士は、仕事の核心部で共通するものがある。仕事現場で、呵責なく時間に追われると言うことと指手や記事は訂正が効かない、待ったなしと言うことである。
訂正記事を出すことはできても、一度、宅配された紙面は不滅だし、世人の目にとまった誤記は、記憶から消すことができない。
日々精進してください、と言うしかない。
以上
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