今日の躓き石 大人のスポーツ報道
2015/07/17
毎日新聞大阪版7月17日付夕刊のスポーツ面のフェンシング世界選手権の報道が、味のある書き方だったので、公平な紹介と言うことで、ここにコメントする。
勝者のコメントとして、「筋力とスピードでは勝たない。あくまでフェンシングをする」と報道されているのが、まことに味わい深いものだった。
近来の風潮として、心技体の中でも、「体」の要素が数値として計測できることから、「データ」に基づく科学的評価と誤解して、やたらに書き立てる傾向があった。
特に、以前のブログ記事で書いたように、毎日新聞の女子サッカーワールドカップの報道では、日本チームの選手の体格や身体能力が欧米チームの選手と比較して劣っているとした意見が掲載されて、一読者として不快を感じていたのである。
事実は、無敗で決勝進出したから、「サッカーする力」は十分持っていたのである。悪運が強いだけでは、決勝まで勝ち上がることなどできないのである。担当記者が先入観で記事を書いているから、オウンゴールを嘲笑する書き方になったのではないかと思う。
最後は、決勝で米国チームの奇襲戦法に出鼻をくじかれて序盤で大きく失点し、持ち味の闘志は最後まで絶やさなかったものの、さすがに大差を挽回できずに不覚を取ったが、素人目にも、日本チームの実力は米国に匹敵するものと思う。
米国チームのコーチ陣が、なりふり構わずに奇襲策を採ったのも、普通に闘っていたら、日本チームの終盤力(不屈の集中力)にひっくり返される、との危機感があったものと見る。そして、奇襲戦法を防ぎきれなかったのは、日本チームの若さと自チームの終盤力の自信から来た、普通は何の問題もない軽い楽観がもたらしたものと思う。
ところが、毎日新聞のスポーツ欄は、大会の総括に当たっても、先入観が目立って、結果を評価しないものであった。最後には、選手の年齢を言い立てて、若手を起用しないことが敗因と書かれていたように読めた。
それにしても、体格や身体能力、年齢などは、当人達の属性のごく一部であり、当人の努力で変えられないものなのだから、殊更に言い立てるべきものではないように思う。選手達が、反発し、気分を害し、素直な談話を出してくれなくなるだけではないのかと思う。読者も、担当記者の「科学的区」分析に感心してばかりではないと思う。
それに、先に書いたように、「筋力とスピード」で勝つのは、心技体の「心」も「技」も無視した一面的な見方だと思うのである。体格や筋力で勝敗が決まる競技スポーツは、むしろ限定されているのではないか。
ふと、記事を見直すと、「共同」と署名されている。と言うことは、今回感心した大人のスポーツ報道は、毎日新聞の担当記者の書いた記事ではなく、共同通信社の配信記事ののようだ。
毎日新聞社は、報道見識の高い執筆者を選んで頂くよう要望したいのである。
以上
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