今日の躓き石 弱い「メ*タル」
2015/08/18
ちょっと遅れたが、毎日新聞大阪夕刊3版スポーツ面の記事である。ただし、朝刊休刊の後の夕刊なので、スポーツ面は、日曜日の成果の最初の報道であり、朝刊なみの扱いである。
さて、台湾の女子プロゴルファー盧曉晴小姐の優勝会見であるが、堂々と日本語で切り出した後、崩れた発言が出てきていて、それぞれ、発言内容がそのまま「」で引用されているようである。
ここまでにも何度か書いたように、スポーツ選手が時折、不出来な言葉遣いをするのは、ある意味ありふれたことである。それを、「忠実に」(正直に、誠実に)引用するか、報道の意義を外さないように、引用から外して、(易しく、思いやりを持って正しい言葉遣いに言い換えてあげるかは、報道陣の品格を問われるのである。
それにしても、前後の発言引用では、自身の言葉なのか、通訳を介したのか、中国語なのか、英語なのか、全く趣旨が不明なのだが、とにかく、そこ以外は立派な言葉遣いで喋っている人が、突如として舌足らずの言い方で「私メンタル弱いんです」と発言したと報道されるというのは、さらし者というか、バッシングというか、痛々しいものである。
どう発言したのかはよくわからない点があるにしても、結果として、崩れた、不用意な日本語で発言したと報道されているのだから、選手の人格を問われてしまうのは、不注意と言うべきだろう。
舌足らずの言い方で笑いを取る(ぶりっこ風)しゃべり方は、随分以前に、台湾出身のタレントが、テレビ出演で笑いを取っていた手口を思わせる。この一言で、一流スポーツ選手のイメージが、ぐずぐずに崩れる思いである。ユーモアなどではなく下品に近い。
いや、言い回しが舌足らずであっただけでなく、「メンタル」という具合の悪いカタカナ言葉を無分別に使っているのが、「業界」汚染に感染したかと思わせるのである。
万事ぶちこわしであるが、それは、当人の責任なのか、報道陣の悪意の結果なのか。
報道陣に、優れた若きスポーツ選手に対する尊敬の念があれば、こうした手違い、言い違いは、割愛したものと思うのである。
当ブログの筆者は、30代のある時期、台湾で友人の自宅に呼ばれて談笑しているときに、友人の母親(台湾人)に言葉遣いをたしなめられたことがある。子供時代、熱心な日本人教師に丁寧な日本語教育を受け、年月を経ても日本語の心が伝わっていて、不心得な日本人にその教えを伝えてくれたものと思う。その折の「学恩」の一部を、若きプロゴルファーにお返ししたいと思うのである。選手当人にすれば、ひいおばあさんの世代になるだろうが、古き良き台湾文化を源流にお返しするのである。
こういうとき、正しい日本語では、「気が弱いんです」と言うものである。因みに、「気が小さい」とか「臆病」というつもりで「小心」と言うと、これは、現代中国語では、「注意深い」の意味なので、混戦が起こってしまう。
いやはや、スポーツ面も毎日新聞の一部であるという簡単な原理が、なかなか定着しないようなのである。
以上
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