今日の躓き石 選手を守る正確な報道
2015/08/18
今回の題材は、毎度おなじみの毎日新聞大阪13版スポーツ面の報道である。と言っても、苦言ではなく賛辞である。
前回は、プロ野球選手の引退会見の報道に対して、選手個人を攻撃しているようなきつい言い回しで、不適切な子供っぽい言葉遣いを公の場で呈したことに対して苦言を呈した。記者会見で、事前に言いたいことを十分時間をかけて練ったはずのメモに基づいて、自分のペースで、自らの意思で語った発言なので、多少厳しく批判しても良いかと思ったのである。
今回は、毎日新聞が同じ会見に基づいていながら、正確な報道と選手の尊厳を両立させた、いわば、報道の原点を守った姿を褒めたいのである。
当記事では、該当部分が「」内で引用されていないので、「野球人生」と失言したかどうかは、不明である。また、メディアの品格を問うという当ブログの本筋には関係ないので、以下、論議しない。
記事の地の文は、24年間の現役生活を振り返ったと書かれている。これは、担当記者が責任を持った的確な言葉遣いである。「」内で選手談話をそのまま引用している部分と相俟って、日米での選手生活の成果と感慨が語られているのである。
このように立派な実績を残した選手が、引退会見で失言したとしても、それをそのまま報道したのでは、選手の失言が言葉を表面に目立って、肝心の引退会見の意義が損なわれてしまう。それでは、報道の使命を果たせない。
記者には、それを予感する感性が必要なのである。
大事なのは、会見の報道であるので、報道の使命を果たしつつ、不適切な言葉遣いがあったとしても、毎日新聞の責任と見識で整理して、間違った言葉遣いを無意味に世間に拡散しないのが、責任ある「報道」というものである。
今回、毎日新聞社の紙面は、とかく、世間の崩れた言葉遣いに染まりがちなスポーツ面でも、選手の偉業にふさわしい高いレベルの品格を「絶妙」に保っているのである。
今日の風潮に流されない姿に、賛嘆を惜しまないのである。
以上
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