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2015年8月 4日 (火)

今日の躓き石 【共同】のフィジカル問題(サッカー)

                                    2015/08/03
 融けそうで融けない懸案となってしまったサッカー(フットボール)の「フィジカル」が、毎日新聞大阪版13版スポーツ面の日本代表監督のコメントに現れた。

 因みに、縦見出しの「男子も顔色失う」と言うのは、限りなく誤用に近い不安定な言い回しであり、クイズで当てて見ろといわれると、「女子チーム大勝」と続くように見える。この面には、「も」の先行例が見当たらないのでそう見える。

 加えて、横見出しでは「猛暑」と書き出しているが、相手だって「猛暑」で闘っていたのだから、いきなり下手な言い訳するものだと思うのである。ただ単に、調整失敗なのに前半飛ばしすぎたと言うだけではないのではないか。いずれにしろ、勢い込んでオーバーペースを続けていたら、気温が低くても、早々にばてがやってくる。

 この辺り、素人目には、見出しの付け方の不出来な記事と見えてしまうのである。

 それにしても、4カ国対抗リーグで初戦を落としたら、まず優勝の可能性は、半分逃げたようなものであるが、その点は触れられていない。FIFAランキングをとってつけたように掲示して字数を稼いでいるが、済んだ試合で相手が格下だったと言い立てても、何にもならない。その程度の相手に、ちゃんと試合を作れなかったという非難だとしたら、報道として、不出来である。

 他でもない、全国紙のスポーツ報道として大事な点を伝え漏らして、意味不明な見出しを付け、意味不明な書き連ね方をしているのが、興ざめである。

 さて、ここで懸案の言葉遣いであるが、代表監督のコメントが、まずは、相手に背の高い選手がいてやられたと評した後、「フィジカルに問題があり、選手は疲れていた」と締めているが、何のことか、一般人にはわからない。

 しばらく以前に、「フィジカル、スピード」と外国人である代表の監督が、カタカナ言葉を連ねてJリーグの改善を求めたという記事があったが、解きほぐされなかったため、当方は、勝手に「当たり」のことではないかと憶測したが、結局意味不明のまま終わっている。「フィジカル」は、人によって、その時によって、揺れ動く概念であり、一般紙の報道では、言い換えていくべき問題語と考える。

 それにしても、高給を取り、高い栄誉を得ているナショナルチームA代表の監督が、毎回こんな断片的で意味の通じないコメントしかできないのであれば、即刻辞任すべきである。
 
また、意味の通らないコメントを日本語にし損ねているのであれば、通訳を替えるべきなのだろうか。意味の通らないコメントを引用して、報道責任を果たしているという関係者も、褒められたものではない。

 いや、毎日新聞の女子W杯サッカー記事に意味不明、先入観ずくめの戦評が続いたことに文句を付けていたのだが、昨日の女子チーム敗戦戦評で、面目一新したと思ったのである。

 女子チーム監督の戦評として、カナダの準優勝チームは、試合運びに抜群のものがあったので、厳しい試合を1点差で勝ち続けたが、今回の若手中心のチームは、先輩の戦いぶりから学びとっていないとの評価であり、当然とは言え、カナダの準優勝チームは、経験を身につけていて、年上であっても伊達に年は食っていないと言っているように読み取れる。
 記者の見識と一般読者に的確に報道しようとする姿勢が顕著に表れていて、頼もしいものであった。

 素人考えなのだが、若手主体に一気に切り替えてしまうのでなく、力をつけた若手の選手が順次レギュラーに浮上して、先輩を追い越していくという、順当な世代交代では、なぜ、ダメなりだろうか。

 振り返ってみると、その記事には【共同】と署名されていて、共同通信担当記者のしっかりした見識に感心したのである。それが、今日は、かくの如く不行き届きな監督コメント報道である。

 今回の共同通信担当記者は、メンタルに問題があり、疲れていたのだろうか。そしてよくわからないのが、同一面の別の場所で、代表監督のコメントが別の切り口で紹介されていて、そこでは、相手チームと体調管理の差で負けたような口ぶりの後、「これが日本のフットボール」と喋ったと書かれているが、唐突であり、特にフォローがない。

 まずは、フットボールとは何かと言うことになると、イングランド、米国、大陸諸国で、食い違いがあり、また、日本でも、一般読者になじみがない表現なので、報道の際に「サッカー」と言い換えるものだと思っていたのだが、ここでは、首尾一貫していない。報道の不手際であろう。

 それはさておき、もし、冒頭に挙げた意味不明のコメントの主旨が、ここに展開されているような言葉になるのだとしたら、別の意味で監督の不具合が見られる。負け方の悪いのは、監督の問題である対策しようのない日本の国情のせいにされては、無責任と言わざるを得ない。本当は、何と言ったのかと言うことである。

 最近の事例では、都市対抗野球の決勝に臨む監督の談話が、全国版と地方版で、大きくずれていて、地方版記者は、ちゃんと聞き取れていない、メモが書けていないのではないかと思った事例がある。慎重に言葉を選んだ日本人監督の日本語談話ですら、主旨を取り損ねる体たらくであれば、今回のように、急き立てられて絞り出した通訳の言葉が断片的であっても、監督の戦評がそのように断片的であったかどうかは不確かであり、ひょっとすると正確に報道がされていない可能性もある。

 と言うことで、代表監督が、なにを問題点と自認していたのか、担当記者の見解と交錯して、読者に伝わってこないのである。

 関係者一同、ボキャブラリーをすりあわせして、何とか用語を調整して欲しいものである。何とか、一般人に読み取れる、平易な文章、用語で報道して欲しいのである。

以上

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