今日の躓き石 「アイドリングストップ機能」の謎
2015/08/26
今日のネタは、特定のメディアの報道姿勢を問うものではない。産学共同開発を謳ったニュースリリースを読んで、謎が深まったのである。
タイトルは、まだ良いのであるが、本文は、今回の新技術は「アイドリングストップ機能」を特徴として、高らかに謳い上げているのだが、「 」内の新語がどういう意味なのか、どうにも理解困難なのである。
問題の原因の一つは、「アイドリングストップ」と言うできの悪いカタカナ言葉にある。Idling stopと言う英語はないので、単語毎に解きほぐして、アイドリング状態で停止することと解されても仕方ないのである。白黒どちらにも読めるスローガンというのは、まことに不出来であると思う。
この不出来な親亀の上に、「アイドリングストップ機能」なる派生語を打ち立てている。
本来、「アイドリングストップ」は、言葉遣いが不自然、つまり、自然発生しない言葉なので、前例がなく、商標登録可能ではないかと思われる。ただし、公共の用途に用いられたので、商標登録はされず、公共のもの(Public Domain)となったものと思う。
以上は、素人の憶測であり、何も調べていないので、取り敢えず「としたら」として、話を続ける。
そこで言いたいのだが、公共のために発案され、定着したらしい言葉を、一企業が私物化するのは、どんなものかと思うのである。いや、他にも、事例があるのであるが、結末がどうなったかは知らない。
素人考えでは、「アイドリングストップ機能」の商標登録は不可能と思われるので、各社使いたい放題になるのではないかと思う。まあ、字数が多くて、敬遠されるのが救いである。
続いて気になるのが、技術的な話として、PC用マウスに於ける「アイドリングストップ」とは、どんなものかと言うことである。いや、そもそも「アイドリング」の比喩が腑に落ちない。ここまで、国民的な課題として論議されたことはあるのだろうか。
読み方によっては、従来のワイヤレスマウスは、待機中にも絶えず電力を消費していて、乾電池交換の際の購入金額が使用者の負担になっていて、また、乾電池の不法投棄を引き起こして、環境に負担をかけていて、使用者から叱責を浴びていたのかという気までしてくる。(当社比)比較データが表示されていないので、改善効果がわからない。
ひょっとして、この新製品は、待機時消費電力ゼロと言うことなのか。それとも、何らかの回路が待機中も動作していて、メインの回路の電源投入すると言うことなのだろうか。主旨が、まことに不明瞭である。
例えば、家電製品である各社製電子レンジでは、使用者がドアを開く際の動きで機械的なスイッチを動作させ、これによって起動するサブ回路の動作でメインの制御回路を起動する仕掛けによって、完全な待機時消費電力ゼロを実現している。
当技術は、各社争って特許出願したが、確か、日立系企業が勝ち名乗りを上げたはずである。ただし、特許権者が、他社の利用を排除しなかったので、広く業界に普及し、公共の利益に繋がったのである。
今回の発表では、LEDの光電発電に着目したと言うが、それをどう利用しているのか、専門用語のかすみに隠れていて、混沌としているのである。
特徴点の表現がまずいと、どんどん突っ込みが入るのである。
まずは、「アイドリングストップ」を廃語にすることである。
「死語」と言うものかも知れないが、語感が悪いので「廃語」にしたいのである。
以上
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