今日の躓き石 安易な便乗商品の「罪と罰」
2015/09/17
以前、新技術告知のブレスレリースの際に、不出来な公共スローガンへの安易な便乗と言うことで批判していたのだが、今回、新製品マウスの店頭販売のニュースを見ると、堂々と「アイドリングストップ」と表示しているのには、正直言って呆れた。
元々、「アイドリングストップ」というカタカナ言葉が、自動車の停車、待機時の無駄なエンジン運転継続の悪習を叩いて、省エネ風潮を催すという運動であったのだが、カタカナ語として造成する際に、語順の配慮を誤ったために、意味不明なスローガンになっていると言う批判があった。一言で言うと、命令文で、ストップ!アイドリングでないと呼びかけの意味がないのであった。
そのまことに配慮不足で不出来なスローガンに、今になって一企業が安易に便乗したのは、どういうことだろう。
でかでかと謳い上げていると言うことは、早い者勝ちで商標登録したのだろうか。それにしては、商標表示がないように見受けられる。
更に深刻なのは、マウスの「待機時消費電力」を、意義の大きく異なるアイドリングストップと同列に表示したと言うことである。
自動車のエンジンの待機中の燃料消費は、排気ガスの出具合やエンジン音で想定できるが、マウスの待機時消費電力は、微々たるものと感じるはずである。
もちろん、マウスという小さな空間では、電池の持ちに影響するほどの電力消費なのだろうが、それが、大声で名乗りを上げるほどのものなのか。もし、マウスの商品生命に関わるような重大問題なら、この新製品以外のマウスは、エネルギー浪費型の度しがたい「ダメ製品」であり廃物ものなのだろうか。
大学教授は、自身の名声を高めるために、適当なスローガンを唱えるのだろうが、分別、世間知のある立派なメーカーがその片棒を担ぐのは、どうしたことか。
いや、実際の所、各業界の各メーカーも、チャンスがあれば、公共スローガン便乗の商標を唱えたい、もし、ただ乗りできるのだったら、儲けものと思っていることは想像に難くない。「アイドリングストップ」が事実上「廃語」になるまで便乗商品が、ほとんど出なかったのは、おそらく各メーカーで、商品化の過程で押しとどめるような、良心的な抑制が働いていたものと想像する。各企業では、こうした商標を言い立てる人がいると共に、必ず、役どころとして、言葉の護り人がいるものである。
と言うことは、このメーカーは、昨今世評に上がっている大企業と同様に、組織として良心的な思慮が働かない会社である、と言うことだろうか。
それにしても、恥ずかしい商品を売り出したものである。
言うままでもないが、メーカーと連座している大学と大学教授の品位にも、大きな疑念を投げかけられているのである。
以上
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