今日の躓き石 美化したくない家庭内暴力
2015/10/10
他人の不幸を種にしたくはないし、人それぞれの死生観の是非は論じたくないのですが、今回の話題は、そうした不都合な話題の近くに及ぶので、読まずに飛ばしていただいて結構です。以下、余り生々しくならないように、言葉を選んだのですが話題自身が不都合なものなので、読んでご不快に感じられたら、ご容赦ください。
昨日夕刻、整形外科の待合室で何気なく眺めていた家庭内暴力のニュースコメンタリーで、子供達の死亡統計数字の説明に「心中」と出てきたのは、違和感などというものではなく、ずしんとこたえたものがあります。
この言葉は、元々、江戸時代に、思いの叶わない恋人たちが、揃って命を捨てたことを形容したものですが、そういう死に方を「美化」することに、幕府為政者は、激しい怒りを示し、生き残りが出た場合はさらし者にするなどの厳罰に処した上、「心中」と美化することを禁止したほどです。
ここで上げられているのは、そうした恋人同士の「心中」とは関係のない「親が子を手にかける」事例が大半なのです。幼い子供達は自分たちの人生をこうした形で終わることに賛成したはずもなく、事件の被害者なので、ますます「心中」として美化すべきではないものです。
「親が子を手にかける」という邪悪この上ない行いを「心中」と美化することで、子供を道連れにすることの後ろめたさが和らげられているのではないかと恐れています。
どうか、この言葉がこうした場で出てこないように配慮してほしいものです。
もちろん、「親が子を手にかける」ことがなくなれば一番良いのですが、それは、当ブログの力の及ぶところではないので、これ以上言及しないことにします。
今回は、新聞記事やテレビ報道の用語問題ではなく、社会通念の問題なので、新聞社やテレビ局に文句を言うことはできないのですが、影響力のある各報道関係者が、不適切な言葉の廃語化に挑んでいただければ幸いです。
以上
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