今日の躓き石 名将への追従
2015/10/20 *訂正追記あり
当カテゴリーでいう「今日の躓き石」というのは、散歩道で、小さな石ころに躓いてふと足を止めるような経験を採り上げているのだが、今朝の躓き石は、苦笑というか失笑で立ち止まったのである。
目に付いたのは宅配講読している毎日新聞大阪13版のスポーツ欄であるが、多分、当紙に限ったわけではなく、あちこちで、たびたび出ている現象なのだろう。たまたま、目にとまっただけであろう。
巨人・原監督退任と題した囲み記事で、「名将」を称える記事なのだが、文中、「追従」(ついしょう)らしきものが紛れ込んでいたと見たのである。
*半日経って読み返して、「追従」(ついしょう)とは言い過ぎで、社交辞令という方がふさわしいと思ったが、ブログ記事のタイトルとして公開してしまったので、そのまま残すことにする。ご不快に感じた方があれば、ご容赦いただきたい。
「2012年に日本一になった後は成績が緩やかに右肩下がり」とは、何とも不似合いな言葉遣いである。この言い方には同意しかねる読者が多いのではないだろうか。一野球ファンとしての当ブログ筆者の意見は、以下読んでいただく通りである。
とは言え、記事中にデータが出ているので、当方のような私人の印象を書き連ねる必要もないのだが、ここに示された数字は冷静である。
2012年 勝越 43 リーグ制覇 堂々の日本一
2013年 勝越 31 リーグ制覇 日本シリーズ敗退
2014年 勝越 20 リーグ制覇 クライマックスシリーズ敗退(全敗)
この3年は、ペナントレース3連覇というものの階段を足早に下る印象を禁じ得ない。特に、2014年、首位チームがクライマックスシリーズ全敗敗退と言うショックは、ファンの間に大きな失望をもたらし、クライマックスシリーズ廃止論を掻き立てる効果まであった大事件であったと思う。
2015年 勝越 5 リーグ2位 クライマックスシリーズ敗退(1勝)
いや、2014年のショックに比べると、今年は、終盤の不振でペナントレース4連覇を逸したあとのクライマックスシリーズ敗退なので、巨人ファンにも、あきらめが付いたかも知れないが、確実に一段下った成績と言える。いろいろな差し障りがあるので、原前監督自身は、「なかなか成績が上がらなかった」とぼかして回顧しているが、内心は、以上のような認識で長い日々を通じて苦慮していたものと思う。
記事のしめで唱えられているように、業界では、巨人は、「『常勝』を義務づけられたチーム」と呼ばれているようである。
そんな背景のもと、原監督を名将と称えるなら、なぜ、充実この上もない成果を巨人にもたらした原監督が、(多少の)成績不振が原因で退任を余儀なくされたか、客観的に報道することによって、名将の「有り難さ」(困難さ)を描き出すべきではないかと思うのである。
念のため付け加えるならば、当ブログ筆者は、原監督を、この30年程度の期間を見渡しても、日本プロ野球界屈指の「名将」だと、密かに賛辞を贈るものである。
正直言うと、「『常勝』を義務づけられたチーム」などという「冠」は野球博物館入りにして「天下最強のプロ野球チーム」であって欲しいものである
*「冠」とは、商業主義に由来した命名と言いたかったのであって、「スポーツに常勝はない」と言うことは、周知のことと思う次第である。
以上
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