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2015年11月19日 (木)

今日の躓き石 寂しい7人制日本代表

                                  2015/11/19
 今回は、毎日新聞夕刊大阪3版スポーツ面である。
 粗雑にも、7人制日本代表の有力選手を「オールラウンダー」と呼んでいる。記者は、褒めているつもりかも知れないが、野球界では、「ユーティリティー」と呼ばれている便利屋の形容である。技量抜群の一流選手の持ち場ではない。

 こうした言葉は、文法外れのブロークンなスポーツ用語であり、全国紙が、全国の多数の読者にカタカナ言葉として受容を強制すべきものではないと考える。
 
とにかく、何でも語尾にERを付けて言い端折るのは、いくらアメリカのスポーツ界由来(と推定する)でも、短慮で勉強嫌いの階層の言葉遣いである。

 日本に比べて、国としての歴史の短いアメリカでも、自国語(アメリカ式英語)に誇りを持っているのであり、「米語はかくあるべし」と言う論者は多いのである。まして、ラグビーは、伝統的に、イングランド発祥のスポーツであり、日米ジャーナリズムに、勝手な(アメリカ方言のいい加減な)造語を持ち込まれてうれしいはずはないのである。
 この点、南ア、オーストラリア、ニュージーランドなど英語圏諸国の賢人達も、日本人によるアメリカ追随の言い崩しには不満があるものと勝手に想像する。

 いや、ここに書いたように、自称正統的日本人だって勝手なカタカナ語には反対しているのである。

 何も、日本一の全国紙が、他に言い方は山ほどあるのに、殊更できの悪いカタカナ言葉にこと寄せて、そうした正統的な見識を逆なでする必要はないのではないか。

 何にしろ、日本代表になるほどの有力選手には、言葉の適否は記者の語感に譲るとしても、せめて、ちゃんとした大人の言葉遣いで、せめて「オールラウンドプレーヤー」と呼ぶ程度の儀礼は、必要と思うのである。担当記者は、ここで、ちゃんと書いて記事が一行増えたとしても、何とでも調整できる高度な文明に浴しているのではないか。

 それにしても、"Jack of all trade" (JOAT)が、突出した特徴を持たない「何でも屋」「穴埋め屋」の形容であって必ずしも褒め言葉でないように「オールラウンドプレーヤー」の呼称は、むしろ「器用貧乏」と呼ばれているようで、一流選手にとって、不名誉の感じがあるのではないかと思う。
 これでは、体操の内村選手のように、得意種目で超一流(金メダル期待)、それ以外でも、並の一流以上(入賞期待)、従って、個人総合も超一流(金メダル期待)、という非凡な選手まで、天下の毎日新聞からありきたりの「オールラウンドプレーヤー」と呼ばれそうでまことに気の毒である。
 特に、ラグビーのように、一度に一ポジションでプレーするスポーツでは、得意とするポジションで出場できないのは、何処かに欠点でもあるのだろうか、とも、取られかねないのである。

 このような、或る意味高度な感性を求めた批判を、たびたび公開するのも、天下第一の毎日新聞は、スポーツ欄でも天下第一の記事を求められるからである。他意はない。

以上

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