今日の躓き石 揺れる「自由席」
2015/12/06
今回の題材は、毎日新聞大阪第13版のスポーツ面記事であるが、「記者」の筆になる物ではなく「自由席」と題された署名コラムである。
いや、書いたのは、スポーツ欄の記者かも知れないが、客観的な報道の視点ではなく、私見を述べ立てたものであると見た。ただし、スポーツ面記事として掲載されているので、ある程度は、毎日新聞社の見解なのかも知れない。随分立派な場所なのである。読者の投書だったら、滅多なことでは、ここで批判はしないのである。
さて、当コラムの意義に不審を感じるのだが、コラム筆者は、「CS」廃止論をぶっているのだろうか。どこが不満で、どう変えたいというのか。読み取るのが困難であった。(伝統的な日本語では、わからんと言う真意である)
CS開催によって、一般スポーツファンなど、Jリーグファンの中核部以外の観客、視聴者の興味を引いたのだが、それは、意味のないことなのだろうか。実力本位の真剣勝負の年間レギュラーシーズンが、クライマックスに向かって盛り上がらない、そこに、不安を感じて、こぞって新設したのではなかったか。背景を含めて、功罪を論ずべきではないのか。
そして、短期決戦の真剣勝負は、広く関心を呼んだと思うのである。
さて、書き出しでリーグ戦34試合の最高成績を収めたチームがリーグチャンピオン(年間王者と呼ぶのではないのかな)を勝ちとったことについて、ぶつぶつ愚痴をこぼしている。順当な結果に終わって良かったのか、良くなかったのか。不吉な切り出しである。
そして、意図不明な広島礼賛が続く。これは、同一紙面の別の場所で展開される(知っているはずの、正規の)スポーツ欄記事で語られるべきものであり、字数の浪費以外の何物でもない。書くべきは、重複した広島の美点列挙ではなく、コラム筆者が、どんな論点で、何を主張しているのかというコラム本論である。
それにしても、美点は美点、勝敗は勝敗である。相撲界の横綱審議会のように、有識者の意見で、年間チャンピオンを選定したいというのだろうか。
さて、段落が変わって、「不公平感」があるとおっしゃる。「感」と言って個人の感想を吐露しているだけと逃げているので、普遍的意見として押しつけるものとは思わないのだが、そのあとに続く言い訳は、冒頭の議論と相反している。
CSの各チームは対等の条件でないとおかしいという口ぶりである。この部分では、試合間隔などで、年間勝ち点第一位は考慮すべきでないと言う意見と見たが、それでは、「感」無しの不公平である。
なぜ、年間勝ち点第一位チームが「アドヴァンテージ」無しに、一度敗退して、コンソレーションから這い上がってくるチームと同じ立場で戦わなければならないのか。
更に言うなら、番狂わせは、大きな逆境を乗り越えるからこそ意義があるのであり、年間勝ち点第一位チームに挑戦して乗り越えことが許されるのである。いくら、「棚ぼた」が珍重されるご時世でも、対等の条件で「下克上」しては、「優勝」の値打ちが地に落ちるだけである。
物知らずで申し訳ないが、どこかの世界には、栄冠に輝くチャンピオンとチャレンジャーが対等の条件で戦うタイトルマッチがあるのだろうか。
それにしても、第2戦のホーム開催の優位性だけでいいとは、何を根拠にしているのか不可解である。
そして、ますます不可解な結びである。
コラム筆者の所見なのか、不可解なタイトルと相俟って、「優勝三つ」の不思議、つまり、本来意義の異なるものを、無造作にごたまぜにした「前期」「後期」「年間チャンピオン」と優勝が三つと、勘違いとも偏見ともとれる不可解な言い放ちである。
本日のスポーツ欄を見る限り、優勝回数としてカウントされるのは、「年間王者」ではないのか。
ここで、一読者にとって不思議なのは、ここに記事を書けるほどに評価されている記者であるはずのコラム筆者が、専門家でありながら用語を混同している、と言うか、混同を煽りたてていることである。
そのあと、現行制度には「無理」が生じる、と結論づけている。
人気商売で成功するには「無理」はつきものである。だから、関係者一同、当然の帰結は、あらかじめ、全て承知の上で、大局的な見地から、CS制度新設(部分的には復活だが)したと思うのである。
冒頭の不審「感」に戻るのだが、コラム筆者は、読者に対して何を訴え、何を変えたいのか見えてこないのである。その原因の大きな要素は、コラム筆者の「自由席」が大きく揺らいでいるのである。記事を自身で読み返して、視点が揺らいでいたら、何処かに記事の狙いを定めて、脇道は割り切るべきである。
全国紙の紙面を任されて、意見を述べるのは、何処かの飲み屋でくだを巻くのとは違うのである。統御無しにぐずぐず言わずにいられないのだったら、自分のブログででも、聞き手を探すべきである。当ブログの筆者は、そうしている。
以上
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