今日の躓き石 レンジファインダー奇譚
2016/01/28
今回は、特定のメディアを批評したものでなく、業界の流れへの批判である。
レンズ交換タイプの非一眼レフカメラを、「レンジファインダースタイル」と無造作に形容している例が目につくのだが、的外れであり、誤用に近いと思う。
ふつう、ファインダーと単にいうのは、「ビューファインダー」の略であり、要は、どんな光景が撮影されるか、事前に見ることができるというものである。
もちろん、「一眼レフ」(SLR)カメラであれば、ファインダーで見えている光景は反射ミラーとペンタプリズムなどの光学素子を使って、フィルム面、ないしはイメージセンサー面に形作られる「撮影光景」と実質上「同じ」光景を見ているのだが、フィルム時代の非「一眼レフ」では、別の光学系で「撮影光景」とそう違わない光景を見て、撮影していたのである。
ただし、それとは別に、被写体との距離を検知して、レンズの動作を制御するため、少し離れた場所に距離測定用の光景を取り込む(結構大きな)窓を設けていて、「三角測量」の原理で距離を測定していたのである。これを、「レンジファインダー」というのである。
ということで、フィルム時代の非「一眼レフカメラ」は、概していえば撮影レンズの上に、二つ窓があったのである。これが、意匠の特徴であった。
言ってしまうと、この形態の元祖ブランドは、こと、レンズ交換タイプに限っても、ライカであり、国内でいえば、ニコン、キャノン、オリンパスなど、軒並み、この構成を踏襲したのである。(日本メーカーが大挙して引き起こした一眼レフ革命の前夜である)
今日のデジタルカメラは、撮影光景と同等の画像をビューファインダーで見ることができ、被写体との距離を別のレンジファインダー窓を利用して確認しなくてもいいのである。ということで、レンズの上には、窓が一つだけである。
意匠の特徴を欠いているから、本来「レンジファインダー」スタイルとは、呼べないものである。
本稿の主張を繰り返すと、このようなカメラを、「レンジファインダースタイル」というのは、大きな勘違いである。
今回目についたオリンパス製品でいうと、往年のシャッター速度設定ダイヤルを模した全面デザインといい、完全に蓋ができるモニタースクリーンといい、まことに、クラシックカメラスタイルである。(ライカスタイルと言いたいところだが、元祖が健在であるので、差しさわりがあるのであろう)
業界の叡智で、消費者を困惑させないような文句を考えてもらいたいものである。
以上
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