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2016年2月17日 (水)

毎日新聞 歴史の鍵穴 迷走の果て 3

         私の見立て☆☆☆☆☆                       2016/02/17

承前

国生み神話に共通点
 その後に、「古事記」の国生み神話が引用されるが、はなから、「おのころ島」を架空の島と断じて慎重な姿勢を示しているのに、以下、大八島(洲?)については、現代の地図に照らして確定しようとする。首尾一貫しない御都合主義の態度である。

 日本書紀の12種類の国生み記事を踏まえて、こうした記述の解釈に議論が分かれている、と健全な発言をしながら、突然、自身の所説に馴染ませやすい古事記の記述を採り上げるのは、これまた、こじつけであり、不確かで多様な資料の中から、自分の気に入る資料だけを選別して採り上げるのは、科学的な態度ではない。記事筆者の思考の外れ方が思いやられる。

 自身の意見に合わせやすい一説に、自身の所説の修飾を施して勝ち誇るのは、まことに、非科学的な論法である。

 素人目にも、列記された諸島の比定で、大小の格差が著しいのは、不審である。

 大体が、当時本州島全体が一つの「島」と認識されたはずはなく、現代の「県」ですら、目の行き届かない巨大な地域である。

 素人目には、伊予二名島は、四国全体でなく、例えば、西方から接近したときの現在の松山市程度の狭い領域であり、筑紫島は、例えば、北方から接近したときの博多湾岸一帯であれば、首尾一貫するのである。どちらも全島一望とは行かないはずなので、「島」全体の名前とは思えない

 してみると、大倭豊秋津島も、せいぜい国東半島程度の領域ではないだろうか。古来、「豊」は豊前、豊後をあわせた領域、つまり、豊の国の一領域という意味と思える。

 「島」というと、地続きは半島であって島ではないとか、地理の教科書のようになってしまうが、当時の人々が、今日の全国地図や西日本地図のような確かさ、視野の広さで各地の地形を認識していたわけではないと思うのである。

 不確かな情報は、不確かな情報として扱うべきである。それが、科学的な態度である。

 因みに、タイトルで「国生み神話に共通点」と見出しで書き捨てているが「斉明西征の意味」に続いているので、これを主語として解釈するものなのだろうが、言葉としての意味が理解できない。 不確かな情報を断言するなと言うのは、言葉遣いを錯綜させて、煙に巻けばよいと言うことではない。

迷走の果て
 今回記事の結末には、あろう事か、「飛鳥と本州北端を結ぶ」とおおぼらが出て来るが、当時の「本州北端」がどこかという認識があったか、という問題以前に、この大地がどこまで続いているか、知っていたかどうか疑わしいのである。

 どうせ、妄想を言い立てるのなら、国後島北端とか、樺太北端とかを採り上げれば、歴史的に固有領土であった証拠として国際的に主張できるのではないか。本州北端とは、志の小さい話である。

 そこまでの距離と白村江までの距離がほぼ等しいというのは、2年後の海戦の位置を知っていたという主張であり、そこまで予知していたのなら、なぜ、2年後に予知していた敗戦に荷担したかと言うことになる。当時の最高権力者に対して、幻想・幻視に支配されていたと非難するものであり、不遜、不敬であり、ゆゆしき主張である。

 「斉明の西征の目的は、天皇の影響力を朝鮮半島に及ぼすことだった。」と突如断言しているが、大軍を率いて親征したのならともかく、瀬戸内を数ヶ月にわたって徘徊して、半島まで影響が及ぶと思った、根拠は何だったのだろうか。不可解である。

 ところが、突如理性に促されたか、「距離まで一致するのは偶然」としても、と譲歩しているが、何とも不可解である)というが、距離以外の何が一致しているのか、書き漏らしているので趣旨不明である。方角は、ご執心の線図から大きく外れている。

事実の報道
 個人の意見は個人次第であり、思想信条の自由に属する大事な権利であり、個人の意見を個人の意見として報道するのは、報道の自由に属するのだが報道機関は、個人の意見を自身の意見と混同させるような形態で報道すべきでなく、また、事実に反する報道は禁じられているはずである。

 当ブログ筆者の知る限り、毎日新聞社は、「正確な事実」の報道を信条としているのであるが、ここまでに提示したような不確かな推定を基礎として憶測を積み上げた「非科学的」記事を紙面に掲載するのは、どういう理由があるのだろうか。

 社内で、どのような過程を経て、事実の報道と検証して掲載したのだろうか。

 お伺いしたいものである。

以上 

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