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2016年3月24日 (木)

今日の躓き石 報道が讃える高校野球の悪習

                          2016/03/24
 毎日新聞大阪13版スポーツ欄の選抜高校野球報道で、一段と見たくない言葉を見てしまった。

 勝利した出場校の投手が、13年前の対戦で負けた相手校に「正当な復讐」を果たしたと「抑えでリベンジ」との小見出しで、美談扱いして報道しているのである。

 13年前となれば、当時の選手は当然卒業しているのだが、先輩として当時の深い恨みを現役選手にたたき込んでいて、血なまぐさい言葉が連綿と語り継がれているからこそ、出場選手達は、復讐の牙を研いでいたらしい。
 高校野球のチーム伝統が、怨念の継承で維持されているとは、困ったものである。

 となると、今度は、負けたチームに更なる報復の伝統が引き継がれると言うことなのだろうか。

 しかも、天下の毎日新聞が、そうした忌まわしい伝統を「赤穂事件」同様の美談として報道しているのは、何とも嘆かわしい。

 全国紙としては、高校教育の一環であることを忘れず、選手談話で不法な言葉が語られたとしても、当人のためにも、チームのためにも、あえて報道せずに、穏当な言葉に言い換えて、スポーツにに対する勘違いを正す義務はあると思うのだが、どうだろう。

 折しも、「正当な復讐の裁き」として、一面記事に傷ましい事件が報道されているし、もとの交際相手のプライベートな画像を、同じく、「正当な復讐による裁き」として、世に晒す事件が報道されている言葉自体、同じ言葉であり、同じ理念である。せめて、復讐の連鎖が不必要な世界では、悪しき言葉、悪しき怨念は、受け継がれないように戒めるべきである。

 高校野球の選手達が、実際に、13年前の「敗戦」事例を生きる糧にしているとは思いたくないのである。高校野球は、戦争では無い。「臥薪嘗胆」は、2000年以上前の「お話」である。勝ちたいという気概は、どこか、もっと別の方面で見出していただきたいものである。

 伝統は、味噌蔵の糀菌のように壁や天井に巣くって後世に伝わるものではなく、先輩や親が、言葉で語り伝えるものであるから、そうした人たちが悪しき怨念言葉の継承を断たない限りなくならないのだが、せめて、報道機関が、悪しき継承を大々的に振興するのは、やめて欲しいのである。

 全国紙である毎日新聞では、校閲部が厳として機種が乱発する言葉の乱れを正していると思うし、紙面に出てしまった悪例に対しては、再発防止の取り組みがされていると思うのだが、禁句連発のスポーツ欄担当記者は、何を言っても許される天下御免の伝統でもあるのだろうか。

 今回のように、高校野球選手の未来に、大きな負債を背負わせるような報道は、字数は少なく、記事の占める紙面は狭くても、報道機関に(当の記者が気づかないとしても)大きな禍根を残すものと言いたい。

 因みに、当の選手の言う「リベンジ」は、プロスポーツ界、特に球界での流行に立ち後れている、いわば時代後れの用法である。
 「最新用法」では、「雪辱」の機会を得ることを「リベンジ」とと呼んでいるのである。と言うものの、別に、最新流行にならうように勧めているのではない。ひどい言葉は、どんなに茶化しても、言葉自体は、数千年の重みを持ち、至高の聖典で語られているので、本来のひどさは変わらない。

以上

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