今日の躓き石 将棋のカタカナ語に反対
2016/04/04
今朝は、月曜の朝なのに、長い間親しんでいた週将(週刊将棋)の無い、毎日新聞朝刊だけが宅配された寂しい朝であった。
今週は、「将棋スペシャル」の週で、これはこれで楽しみであったが、「C級2組1期抜け」と21歳の新進を讃えている見出しに「オールラウンダー」と、わけのわからない、つまり、意味の定着していない、どちらかというと不適切なカタカナ語が続いていて、興ざめであった。
この言葉は、一応、米国スポーツ界由来の行儀の悪い言葉なのだが、元々、それぞれのスポーツで意味合いの違う、下手な記者の逃げ道的な言葉である。将棋界も、この言葉に汚染されるのかと思わされたものである。
一応、地の記事で意味が説き明かされているが、最近分化してきた序盤作戦のいくつかをそつなく指しこなす多才さを「ほめた」ものだと思う。しかし、さすがに、プロ棋士への形容としては、ごく最近、と言っても、十年程度、のもので、大多数の将棋ファンには、まだ定着していないのではないか。
いや、この言葉にであったのは、某ムック(立ち読みしただけなので、署名もはっきりしない)で、四冠王の、どんな序盤戦法でも受けて立つ「横綱」対応を「オールラウンダー」と揶揄しているような言い回しにぞっとしたことがあって以来である。
今回は、新鋭棋士が、得意戦法の研究に特化せずに多才さを示しつつ、勝ちを重ねていることへの褒め言葉だろうが、依然として違和感がかんじられるのである。言葉自体が、素性のよくない行儀の悪い(文法外れの)、意味の定着していないものなのは、伝統文化の護り人たる毎日新聞の報道姿勢にも、将棋界の基調にもふさわしくないのである。
もっとも、今回の記事は、「序盤戦法のコンビニ」的な取り組みの紹介でなく、激戦の終盤の攻防を見事に勝ち切る姿であり、最後の決め言葉として、お行儀の悪い感じのつきまとう「終盤力」で占めているのである。多分、記者は正統的な意味で書いているのだろうが、その主旨で書いていても、何か最新語にかけて言い崩しているのではないかと疑われるのが、見出しの一言の罪である。
じゃあ、どう言えばいいのか、と問い返されそうだが、自分で考えてご覧、というだけである。「カタカナ語」を使いたくなったら、まず言い換えが、正統派ジャーナリストの原則と思うのである。
先輩達が言い伝えた言葉を大事にすることが、担当記者への定評を積み上げるのであり、それは、大きく言えば、将棋界の宝を後世に伝えることになるのである。かけがえのない紙面記事の書き手として、ご自愛いただきたい。
以上、言うまでもないが、一読者の勝手な言い分である。担当記者は、私の子や孫ではないし、弟子でも部下でも無い。別に、従う必要も何もない。本来、ほっとくものなのである。
以上
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