今日の躓き石 囲碁界奇譚~国境を越えた『同級生』の怪
2016/05/11
今回は、毎日新聞4/24大阪朝刊の特集記事で、どうとばかり、つんのめることになった。
つんのめったせいでもないのだが、出し漏れになっていたのを、半月遅れで公開するのである。
囲碁界に誕生した七冠王の記事で「世界のライバルたち」と題した囲み記事があるのだが、そこに、中国、韓国の三人が、七冠王と「同級生」だと書かれているのは、どんな意味なのか。不思議が募るばかりで、記事の中身に思いが至らないのである。
もちろん、ここにあげられた中国、韓国の三人の名棋士が、揃って日本に留学して、日本の教育を受け、七冠王と同じ教室で学んでいたのであれば、何も文句は無いのだが、そうであれば、一種のサクセスストーリーとして書くだろうから、そう書いていないと言うことは、「同級生」の要件を備えていないのだろう。
毎日新聞の校閲部は、この記事をチェックして良しとしたのだろうか。
いや、「同級生」には、学齢の同じ者達を総称す「便利な」言い回しとして、良識ある人からの「誤用」非難の猛攻に耐えて、冬の蚊の如くしぶとく出回っているとは聞いているが、この記事のように、国際的な場合は、更なる「誤用」の二階建てという気がする。
学校年度は、中国では九月開始と聞いているし、韓国では三月開始と聞いているので、どう考えたら、四月開始の日本の教育制度と「同級生」と呼べるのだろう。
そんな、言葉の超絶曲芸を創始しなくても、単純に、同一年の生まれのものを同年と扱えばいいのではないだろうか。各国制度の調査も要らない、アメリカの場合存在するという各州でのバラツキの調査も要らない。
それとも、全国紙として、何か、新ルールを編み出したのだろうか。
ともかく、この囲み記事は「世界のライバルたち」と期待を持たせていながら、意味不明な言葉を無造作に取りこんで、年齢らしきものを唯一無二の要素としたところで、破綻しているのではないか。世界に、何万といるだろう「同級生」棋士(プロ、アマ交えて)に、特別な意義などないのではないか。
ライバルは、棋力で選ぶべきであり、その棋力、棋風と現在の地位(段位ではわからないから、タイトル保有数など)を採り上げるべきではないのかと思うのである。
囲碁大国は日本だけでは無いから、囲碁門外漢としては、他の国には何冠あって、誰と誰が何冠保持しているのか、も知りたいところである。
もちろん、ライバルは、互いに意識し合うからライバルである。それを証明するような相手方の談話は、この記事に間に合わなかったのだろうか。ライバル譚で、一番大事な事項がかけているのは、報道機関としては、不手際であろう。
言うまでもないがも、人としての自我の無いコンピュータープログラム(ソフトウェア、ソフト)は、七冠王をライバルとして意識していないから、両者は、ライバルたり得ないのである。
と言うように、つらつら不満を言い立てさせて頂くのは、毎日新聞には、高い見識が保たれていると信じて、宅配講読しているからである。
以上
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