今日の躓き石 サッカーの「メンタル」の正体?
2016/05/11
今回は、旅行したりして、新聞、テレビから遠ざかったせいで、ぼやきネタが無かったのであるが、色々迷ったあげく、4/24開催のJリーグ第8週を報道した4/25付け毎日新聞大阪朝刊の記事を取り出して、時期外れ、半月遅れのコメントを公開することになった。
個人の何気ない発言の難点を言い立てるのは、気が進まないのだが、何分、監督は、選手経験を経て、今は、一流チームの指導者として、新聞向けの談話を提供しているのだから、遠慮せずに率直に批判させて頂くのである。何かの戒めになれば幸いである。
記事の末尾の談話に曰く、「形はどうであれ、勝ち点3をつかみ取って帰りたかった。ACL敗退で精神的、日程的に次に向かうことが難しい中、よく踏ん張ってくれた。」
何気なく読むと、敗者の愚痴のように思える言い回しである。移動中のせわしない読み手には、勝ち点3を掴めなかった(負けに等しい試合をしてしまった監督の)悔やみのように読めたのである。
この試合に先立ち国際試合があったが、対戦相手は一段と手強いのは想定されていて、負けることも覚悟しておくものではないのか。まして、日程が厳しいのは、決まり事だから、これも、覚悟しておくものではないのか。
選手の中に、そうした弱音を口に出す者がいても、監督は、新聞社の取材に応じて、このような意気地の無い談話を提供して天下に公開されているのは、感心しない、とその時は感じたのである。
それにしても、「精神的、日程的に次に向かうことが難しい」というのは、日本語として意味を成さない、うわごとのように思える。精神的に挫けるのと日程が詰まっていて疲労が抜けないのは、全く別の種類の事項である。監督自らが、このように言葉遣いが乱れるほど動揺していては、選手がしっかり戦えないのも、無理ないと思わされるのである。
談話を報道した記者は、言葉の意味を理解していたのだろうか。
また、監督の言葉として、「追いつかれ、メンタルが崩れてしまう」と危惧していたとも漏らしているが、同点にされただけでもうダメメだとばかり、「メンタル」なる意味不明の代物が「崩れ」るのを感じたようだが、それは「センチメンタル」と言うべきものではないのだろうか。スポーツ選手は、逆境で闘志を掻き立てられるものと思っていたが、素人の勘違いなのだろうか。監督の指導している選手たちは、脆い根性の持ち主ばかりなのだろうか。
それにしても、記事前半の外国人選手の得点談話は、「精神面で相手を上回った」と胸を張ったと書かれているが、まことに立派な日本語談話であり、みんなの励みになる力強い言葉遣いである。
こうして、半月経って読み返してみると、この試合の記事は、書き出しから最後まで、ぐらぐらと言葉遣いが揺れていて、記者としての見識が見えないし、監督の恨み言をそのまま書き連ねて、関係者一同を、意味なく不愉快にしているのである。
因みに、別のチームの外国人監督のドロー試合談話は、「注意力の欠如が最大の原因。」と明解であり、かつ、選手にとって、今後の糧になるものと思うのである。サッカーは、他のスポーツと同様に、集中力の維持が大事なのである。闘志は、瞬発力を生むかも知れないが、瞬発力で勝てるほど甘いスポーツではないはずである。
当ブログでは、時折、スポーツ関係のメディアで見かける、できの悪い通訳言葉を譏っているが、今回の記事では、しっかりと、一流選手や監督にふさわしい大人の言葉遣いになっているのに感心したのである。
毎日新聞の記者も、このあたりの言い回しを学ぶべきである。聞いたまま書き出すのが報道では無いと思うのである。
以上
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