今日の躓き石 毎日新聞の締まりのないカタカナ語管理
2016/06/13
今日の題材は、休刊明けの6月13日毎日新聞夕刊大阪3版スポーツ欄である。
第100回を迎えた「日本陸上競技選手権大会」混成、で十種競技の代表に、しかるべき選手が好成績を出して、「順当に」選出されるということで、まことにご同慶の至りである。
しかし、勝因、というか、実力を発揮できた原因として、「長丁場で重要な」と前ふりをした「メンタル面」の安定が挙げられているのが、何とも、不可解である。
確か、業界常識では、「メンタル」面とは、弱気、気後れ、ビビりなどの消極的(ネガティブなメンタル面)心理(による不首尾)のことであり、そのような弱点が出ないように、丁寧にカウンセリングするのが、「メンタルトレーナー」だと紹介されていたように思うのである。書かれている字面通りにうけとると、消極的な心理状態を安定させてどうしようというのだろうか。
当記事の書き手の思いを察するに、「メンタル」は、小見出しに書き出しているように、「苦手意識」の同義語であり、安直に払拭、解消するものではなかろう。
つまり、一度要件を書き出した後で、同じような内容を、わざわざ、言葉を変えて書き立てている意義が、理解できないのである。
小見出しの後は、「苦手意識」は、意識改革で解消したのではなく、筋力の強化でいい数字が出るようになったので、緩和されたという記事ではないのだろうか。いや、だれだって、力不足を意識改革で解消できるなどと思ってはいないはずである。ここは、どんな訓練で、短期間で、筋力不足を解消できた書くべきではないだろうか。力がつけば、自然、「気おくれ」も消える、というのは、まこと当然の理であるように思う。そうでないと、後進の選手が進む道を見失おうというものである。
この記事の書き方では、とうに滅び去ったはずの「精神主義」が垣間見えているのである。
オリンピックは、強敵ぞろいの腕比べであるから、負けることも覚悟しなければならない。負けた時に、「メンタル面」の不備で負けたと逃げるのか、力不足が解消しきれていなかった、次は、もっと強くなって勝ってみせると「負け」に立ち向かうのか、反省の仕方で、ずいぶん、競技者の知性面(ポジティブなメンタル面)の評価が違ってくると思うのである。
今回は、競ってきた相手が途中棄権で、独走勝利だったようであるが、まさか、切迫感がなかったから、実力が発揮できたというものではないだろう。88年前ならいざ知らず、強敵がごまんといる現実だから、五輪に出られたというのも、喜びも半分以下ではないか。
ついでながら、今回の記事の最後に、「新しい歴史が刻まれた」と物々しい書きぶりだが、すでに、99回の「歴史」が刻まれた大会史の最後のページに今回の結果が書き足されたというだけで、別に、「歴史」が刻まれたというものではないと思うのである。101回が来れば、その結果が書き足されるだけである。まさか、88年ぶりの複数代表というだけで祝賀する分野なのだろうか。
誇大表現大安売りで、特に実質のない事項を大げさに書いて人目を引くというのは、天下の毎日新聞の編集方針ではないと思うのである。ぜひ、自制いただきたいものである。
以上
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