今日の躓き石 毎日新聞の恥 「リベンジ」の蔓延
2016/08/17
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊13版のスポーツ面、バドミントン女子ダブルスの報道部分である。つまり、今回も、世界に冠たる毎日新聞の社命をかけたリオ五輪報道である。
選手の談話で、「リベンジできたことがうれしい」と引用されているから、選手自身の言葉なのだろうが、だからといって、わざわざ書き立てるのは、悪趣味であり、選手いじめに近いのである。選手だって人間であるから、まずいことを口走ることもある。それをそのまま、と言うか、殊更に取り出して、選手の人間像を歪んで伝えるのは、報道の正しいあり方とは思えない。これでは、記者の軽率な書きぶりが、毎日新聞の恥になって、後世に伝わっている。
- 選手は、自分の言葉が、悪い言葉だと気づかず、新聞に載ったから、ほめられたと思うから、使い続け、友達にも広める。
- 読者は、毎日新聞が載せたのだから、これは良い言葉だと思ってしまう。自分でも使い、友達にも広める。
- 読者は、スポーツ選手は、スポーツ精神ではなく、負けけた相手に仕返しをする残虐なことに生き甲斐を感じていると思ってしまう。子供にも、スポーツは、やり返すものだと教えてしまう。
- 紙面に載った記事は残るので、選手の思い違いが後世に残る。選手は、言葉遣いに無神経な人だと記憶されてしまう。強ければ、何を言っても良いのだと思ってしまう。
- 記者は、自分が気の効いた報道をしていると思ってしまうから、ついには、大見出しにしてしまう。
意地悪く言うと、『世に盗人の種は尽きまじ』。いくら、正しい言い方を勧めていても、悪用はしたたかに生きき続けるのである。
大抵の試合は、何かの意味で、仕返し戦である。自分が初顔でも、同僚や先輩の借りを返すのかも知れない。紙面は、「リベンジ」の山になり、スポーツはスポーツでなくなってしまう。
幸いそうなっていないと言うことは、大抵の記者は、こんなつまらないことを書き立てて、自分の名前を汚したくないのである。他にも、書きたいことは山ほどあるのである。後ろ向きの汚い言葉など、触るのもいやだと思っているのである。記者精神は、地に落ちていないと思いたい。
記者は、言葉を大事にして、紙面を汚すことを怖れて欲しいのである。
因みに、選手の言う『リベンジ』は、、現代カタカナ語では、その一,『仕返し、復讐、血祭り、天誅』と言う、血なまぐさい行いであり、世界に広がる不穏な破壊活動と同じ精神に根ざした言葉である。
近年増えてきた『リベンジ』は、現代カタカナ語では、大輔流のその二,『再挑戦』と言う、平和な軽い意味であるが、カタカナ言葉が一人歩きして、その一の用法が蔓延っていると誤解され、誤解された流行が広がっている。その意味では、その二が、ほとんど収まっていたその一を復活させ拡大した悪の根源である。
そんな風にカタカナ語に二つの意味があることも知らずに、無頓着に悪用例を紙面に書き付ける記者の「破壊活動」が目立つのである。
くれぐれも誤解しないでいただきたいのは、当ブログ筆者が、反省を促しているのは、新聞のゴールキーパー「校閲部」である。
当の記者は、自分が「毎日新聞の弱点」だとは、さらさら思っていないし、ここに書いたことを言われても、別に気にしない可能性が高いのである。言われて気づく程度の感性があれば、とうに自分で気づいているだろうと思うのである。まさしくもダイハードである。
誤字や誤記を訂正するのは、校閲、校正のイロハである。そんなことを自慢せずに、新聞の神髄を守ることに努力してほしいものである。メディアの力は、悪用を根絶させる攻撃的なものでなく、悪用例を世に出さないことなのだが、5年、10年かかっても、良識ある行動で自然消滅をさせていただきたいものである。
念のため言うなら、当ブログ筆者は、政府高官でもなければ、新聞社の大株主でもない。自分の信ずることを書いているだけである。当事者は、別に、何を強制されているわけでもない。自分で考えて自分の分別で行動していただけば良いのである。
以上
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