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2016年9月30日 (金)

今日の躓き石 フットボールのフィジカル面とは?

                                 2016/09/30
 今回の題材は、またまた、サッカー日本代表監督の談話である。主として、毎日新聞大阪朝刊13版スポーツ面の記事での、監督談話の引用に対する指摘なので、一応、日本サッカー協会の広報担当の翻訳の責任と言うことになるのだが、毎日新聞記者が、主旨確認せずに談話の引用をそのまま載せているので、新聞の報道の責任とも言える。

 さて、今回の記事で不満なのは、日本代表の戦いぶりに対する、整理されていない記者感想が、延々と続いていることである。ここでは、細かいことを書き連ねても、読者はそんなことを聞きたいのではないのである。

 肝心の監督談話であるが、総括として、全国紙の記事という位置付けでは、「日本と海外のフットボール」と書いているのは、まずは、不親切である。

 一般読者にとって、「フットボール」=「サッカー」と理解している人は多くないのではないかと思う。説明無しに「フットボール」と言われると、アメフットが念頭に来るはずである。つまり、日本国内には「フットボール」は普及していないのであるから、引き合いに出されても、引き合いにならないのである。
 これでは、読者に意味が伝わらないから、監督として不用意だと思うし、全国紙の報道としても、不合格ではないかと思われる。(サッカー)と付け足すくらい、一般読者に歩み寄ってほしいものである。
 そして、「差がある」というのは、どこがどう違うのか、聞き取ってほしいものである。欧州には欧州の行き方があるので、南米とは違うし、アジアとも違う。それは当たり前であるが、記者の意見ではなく、監督の分析を聞かせてもらいたいのである。

 そして深刻なのは、「フィジカル面」との言い方である。
 この言葉は、辞書に載っていない、意味の定着していないカタカナ言葉なので、ある意味、一般読者の理解を拒否した言葉遣いと思える。
 今回は、ワールドカップ最終予選での不振について、ファン/サポーターに対する「言い訳」の場と思うのだが、そこで、いつもながら意味の通らない言葉を使うのは、どういうつもりかと思うのである。

 もちろん、監督自身が、日本語のカタカナ語で喋っているのではないから、先に書いたように、協会広報担当の翻訳に責任があると感じるし、それを、そのまま通す記者の姿勢にも疑問を感じるのである。

 思うに、関係者は、誰も、一般読者がどう受け止めているかなど気にもしていないのだろうが、一般読者の理解があってこそ、熱心なサポーターが育つのであり、そうした支持に対して潤沢な資金が提供されるのである。そうした資金は、それぞれの名目で由来が語られるだろうが、大河のように流れ込む資金の最初の一滴は、一般読者の財布の些細な資金なのである。誰が最大の「顧客」であるか、勘違いしてほしくないのである。

 フィジカルのスポーツ界での用法を見ていると、大別して、
1.体格   背の高さ、体重
2.体力   速度、瞬発力、持久力
3.闘争力  当たりの強さ、ボールへの食いつき
 の意味で使われていると思われる。一言で、どの話かわからなければ、読者も理解のしようが無い。
 また、サッカーのスポーツとしての用件と思われるボールコントロールやシュートの技術はどこに入るのだろうか。単に、当然備えている「スキル」で片付けるのだろうか。
 依然として、どんな意味で使っているのか疑問が残るのである。

 記者は、最後に、監督の総括の言葉に続いて、どう関連しているのか不明な「正攻法」と反論の少なそうなきれい事(使い古した言葉だが、無策で行くという、大概失敗する守旧論と思う)でくくっているが、そもそも監督の本意を理解しないまま「及び腰」(へっぴり腰)などと意味不明な言葉でくさして、これに対してJリーグ流を押し立てて、監督の所信を伝えるという報道の役をなしているのだろうか。

 読者は、賢そうに高所から理屈をたれている記者の意見ではなく、現場で戦っている監督のプロ指導者としての分析を聞かせてもらいたいのである。

以上

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