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2016年9月29日 (木)

今日の躓き石 藤原京元日朝賀の虚報、誤報

          私の見立て☆☆☆☆☆                2019/09/29

 今回の題材は、毎日新聞の責任というわけではないが、記事にして紙面に乗せたのだから、ある程度の責任は避けられないと思うのである。
 記事は、『「続日本紀」は、701(大宝元)年の元日朝賀』と引用しているが、この引用は「引用」ではなく、誤解としか言いようがない。

 「続日本紀」の時代には、西暦(ユリウス暦)は知られていなかったから、701年の元日と言われても、何のことかわからないのである。

 701年は、大体の所は大宝元年としても、太陽暦と太陰太陽暦(旧暦)とでは、元日が、一カ月あまり、約四十日程度違う。つまり、701年の二月十日あたりが、大宝元年の元日である。
 特に、彩色画には、「701年の元日朝賀」と完全に架空の日付を付けているので、誤解は、深刻である。

 そうした食い違いは、古代の歴史を学ぶ上でのイロハ、常識であり、うるさいことを言われないためには、「大宝元(701)年の元日」と書くものであるが、今回は、なぜか間違いを言われかねない書き方になっている。

 いい年をしたおとなが、「常識に一石を投じた」つもりなのだろうか。学問は、地道な論証の積み重ねであり、悪ガキが窓ガラスに石をぶつけるような破壊的なものではないと思うのである。

 発表元の奈良文化財研究所は、素人(全国紙の一般読者)相手だから、この(ごまかした)言い方で良いと思ったのであろうか。それにしても、この程度の続日本紀記事を正確に引用できないようでは、それ以外の引用や援用も、原典を勝手に書き換えた、いい加減なものではないかと危惧されるのである。

 今回、馬脚を現した大宝元年論は、本来些細なことではあるが、「虚報、誤報」は、小さな事で、全体の信用をなくすと言うことである。誠に余計なお世話であるが、組織としての「校閲」活動が必要ではないかと危惧される。

以上

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