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2016年9月 8日 (木)

今日の躓き石 サッカー 心理面を鍛える?

                             2016/09/08

 今回の題材は、毎日新聞大阪13版のスポーツ面サッカーW杯最終予選の中間報告である。

 第二戦で、17本打ったシュートが2本しか決まらなかったと統計数値を示し、そこから、「日本(代表)の根源的課題である」 「シュートの精度」を欠く という問題点を示しているが、外れた15本には、それぞれの「失敗の原因」があったはずであり、そこから、解決のカギが見えたのであれば、失敗は成功のもとと言えるはずである。

 ちなみに、80年代辺りの大昔であるが、日本チームのシュートは、「宇宙開発」のように、天高く飛んでいくと揶揄されていたのである。おそらく、強く蹴らないと止められるという恐怖が、日頃できない高みまで蹴り上げていたと言うことであろう。

 今回記事を見る限り、指導陣は、選手の「心理面」(メンタル面、などと、監督が言うはずもないカタカナ語を避けたのは進歩である)の問題でシュートが外れていると捉えているようだが、それは、選手が、枠を捉えるシュートを打てる技術があり、打てるボールが来ているのに、外していると見ているようである。
 当の監督が言うのだから、多分そうなのだろうが、じゃあ、「心理面」のどこが弱かった、悪かったのかという分析はしているのだろうか。大局を見て着眼して課題を発見するだけで、小局に降りて事態を改善する具体策がなければ、空論になってしまうのではないか。

 素人が考えても、失敗の原因となる心理面の問題点は、「気負い」-「気後れ」、「過信」-「不信」、「過敏」-「弛緩」などなど、いろいろな気持ちの過不足が考えられる。今回は「格下」と見ていたはずだから、相手を恐れての失敗ではないだろうが、初戦の敗戦を引きずって不安を抱いて試合していたのかなとも思う。間近で指導していた監督やコーチには、憶測でなく、実際に見えていたと思う。いや、事前に予測して、そうならないように指導していたはずなのだが、わかっていても陥る罠なのだろうか。

 ついでに言うが、監督が心理面の「鍛え方」がわからないと言うのも、情けない話である。と言うことは、技術的には最善を尽くしているが、心理面は、責任を取れないと保身しているのだろうか。心理面を鍛えると言うからには、現在の心理面の「強さ」を計る指標があって、例えば、それが100点満点の85点以上必要なのに、現在は50点程度であるという現状の数値による把握が必要である。客観的な指標があれば、選手も納得して、鍛えにかかるだろう。あるいは、選手の中で、「強さ」を備えているお手本が見つかるかも知れない。
 しかし、指標を把握したとしても、どこをどう鍛えればその指標が上がるのかわからなければ、鍛えようがないのではないか。
 例えば、肉体面で、特定部分の筋力不足であれば、そこを集中的に鍛えて、指標を高められるのである。あるいは、取り組み面で、相手の手をうまく排除できないのが、競り合いの不利の原因であれば、相撲や柔道の稽古でもして、肩から腕、手の工夫でファールにならずに、敵の指手を外せるようにできないかと思うのである。
 それぞれ、具体的な鍛えであり、成果が上がるから、取り組み甲斐があるというものである。

 結局、賢そうに問題点らしいものを指摘しても、鍛え方がわからなければ、強さが見えなければ、選手は、自分自身に固有の改善困難な欠点と捉えて、自信喪失するだけである。

 監督の発言が、報道されている限りでは、断片的で、的確な助言や指示になっていないのは、ここまで感じていたことである。選手に対して、もっと的確な、具体的な指示が出ているのであれば、聞かせて欲しいものである。

 また、監督が、「反撃の進攻を早めて、敵の守備が整わないうちに突き破れ」と言っているのに、選手は、慎重に取り組んでいるのは、深刻な喰違と思われるのだが、解消しようとしているのだろうか。

 そうした風に、スポーツにまるで経験のない、何の権威も権力もない一介の素人でも、いや、一介の素人だからこそ、疑問の解けない、突っ込みの乏しい記事だと歎くのである。

以上

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