今日の躓き石 サッカーにおける身体能力とフィジカルの違い
2016/11/05
今回の題材は、例によって、毎日新聞大阪13版スポーツ面である。
それにしても、例によって、毎日新聞による現サッカーA代表監督の描写は、手厳しいものがある。
今回は、15日のサウジ戦に備えて相手チームの戦力分析を語っているらしいが、三点の指摘で、第一点で、「(優れた?身体)能力がある」と語ったのに続いて、第二点で「フィジカルも強い」と意味の安定しないカタカナ語を使っている。つまり、現監督の語彙では、「フィジカル」は、身体能力とは別項を立てるほど異なっているものらしいが、詳しくはわからない。
それにしても、毎回思うのだが、監督自身英語を常用せず、記者も読者も英語を理解できないので、カタカナ語に読み替えている状況で、こういう意思の伝わらないしゃべり方を報道されるのは、協会側通訳の不手際なのか、新聞記者の開き直りなのか、結果として読者に迷惑であろう。
三点目には、戦術的にも良くなっていると言うが、サッカーの試合で戦術と言えば、あれこれ細かい手口であろうが、従来、何が、サウジの戦術だったのか、どんな手口が加わったのか読者にはわからない。つまり、良くなっていると言われても、混沌とした印象を与えるだけである。監督にしたら、サウジチームの分析は以前喋ったから、重ねて言わないと言うことだろうが、報道の段階までに補充してもらわないと、読者にはわからない。
また、日本代表に望むのは、(1)個人技を抑え、(2)チームプレーに重点を掛け、(3)「アグレッシブ」に勝利を追求する、とこれまた、意味の通らない三点の言いぐさで報道されている。カタカナ語であっても「アグレッシブ」は、ほぼ、「攻撃的」と解されているから、大体の意思は通じるだろうが、これら三点をまとめて、どう実現していくのか、各選手は、解釈に困るだろう。
大体が、ほとんど、戦略も戦術もことなるチームで一人戦っている選手を寄せ集めてチームにして、短期間の合宿で、監督好みのチームプレイを仕込もうとしても、これは大変な難業である。と言うことで、ぐるぐる思い巡らしても、指示された三点の実現には困惑するだろう。
以前の報道で、チームの不振の原因を問われて、欧州トップクラスのチームで成果を出しているメンバーが大勢いるから、(アジアでは楽に)勝てると思ったのに、それぞれ、先発を外されて出場機会が無くなっているのは、当て外れだ、との趣旨の発言があったようだが、今回も、実際は、欧州で活躍している選手の「個人力」を当てにしているように見える。
それにしても、当記事は、中程の目立つ見出しで「閉塞感」と決めつけているが、欧州リーグで各選手が遠ざけられているのが作用しているのだろうが、少なくとも、当面の予選では、当面の相手にいかに勝つかが大事であって、欧州リーグのチームでいかに活躍するかと言うことではないので、くよくよせずに割り切って頂きたいものである。新聞報道が、「メンタル」な縛りを掛けているのでなければ幸いである。
そうした、不安が多い、現監督談話に対して、続いて掲載されている元監督の談話と顕彰記事は、「示唆」に富んでいる。
代表チームに求めるのは、「考えて走るサッカー」と明快であり、それを支えるための走り続けられる体力を養成したように思う。また、「強豪国の模倣でなく羅本の特徴を生かし」と明快な指針があり、更に、日々、選手に具体的なことばで語りかけていたことが「機知と示唆に満ちた語録」として関係者の記憶にとどまっていると報道されている。
以上に上げた一連の記事を普通に読むと、現監督は、機知も示唆もない、自身の考えを確実に伝えない監督と見えてしまうが、それが真相なのだろうか。それとも、通訳や記者のように、途中に入った人たちのせいなのだろうか。直に語っていることばを聞かないことには、最終判断は示せないのである。それはそれとして、全国紙の報道姿勢として、退いた人を褒め称えて、今居る人を譏るのは、良い趣味ではないと思う。
今回は、「フィジカル」と言う、当ブログ記事筆者が問題視している、意味の曖昧なカタカナ語を手がかりに記事に深入りしているが、ここまで深入りして感じたのは、あくまで、一読者の個人的な感想であって、別に、何の権威も無いものだから、言うまでもないことだが、気楽に読み飛ばして頂いて結構である。
以上
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