今日の躓き石 毎日新聞テニス記事賞賛 いや絶賛
2016/11/21
今回の題材は、毎日新聞大阪夕刊のスポーツ面、世界1,2のテニスプレーヤーの決戦の戦評である。タイトルに書いているように、批判でなくほぼ全面的に褒めているので、安心して読んでいただきたい。
勝者の談話を引用すると、「***のような選手には良いプレーをしないと勝てない。大事なポイントでやるべきことができた。」 つまり、自分の実力は対戦相手を凌いでいて、それを遺憾なく発揮するようにプレーし、遺憾なく発揮できたから勝てた、順当である、と言う意味であろう。
真の実力者は、周囲から喝采されなくても、幸運に頼らなくても、勝つべくして勝つだけだ、とも受け取れ、まともに言われたら傲慢さに反発するだろうが、こうして謙虚に、控えめに言われたら、少しは自慢しろと言いたくなる。実力の世界の最高峰戦の勝者の談話として、まことに品格の高い言い方である。見事な報道である。
ちなみに、勝者は、3時間を越える激戦を二度凌いだ果ての決勝であったが、終盤に多少疲れを感じたという程度で、全く問題にしていない。大事なのは、集中力に欠けたとか、体が動かなかったとか、動体視力が落ちたとかの原因で起きるとされているUnforced error、つまり、凡ミスが少なかったと言うことであり、それが、確かな「心技体」の表現というものであり、世界一位の実力というものであろう。
一方、敗者は、(ベストを尽くして貪欲に闘ったが)大きな勝機がなかったとしているだけである。先ほどもあったように、どんな選手でも抑えきれない凡ミスが、自分の方に多く出た、と言うことの表現であろう。くだらない言い訳をしないのが、これもまたトッププレーヤーの品格であろう。
また、今回の決勝賞金は、2億円を超える大金であるから、どちらの選手も欲しかったものだろうが、少なくとも最大の動機ではなかったと思うので、このようにさりげなく書くものである。
さて、最後になるが、勝者談話の小見出しで「王者貪欲」と書いているのが、勝者への最大の賛辞であり見事である。
今回の記事は、体格比較もなければ、年齢比較もなく、従来の戦績を引き合いに出さず、また、メンタルとかフィジカルとか、意味不明な言葉に逃げず、見事、と褒めたところで、末尾を見たら、共同通信の配信記事であった。
記事に署名はないが、格調の高さと的確な書きぶりを絶賛したいものである。世の中には、これだけの記事を書ける記者がいるのである。
以上
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