今日の躓き石 毎日新聞の堕落また一つ リベンジ
2016/11/21
今回の題材は、毎日新聞大阪夕刊三版の社会面である。とかく刺激的な言葉に走り勝ちなスポーツ面ならともかく、紙面の規範たるべき社会面で、こんなひどい見出しにであうとは! 長生きしたくないものである。
「リベンジ **へ秋波」として、問題用語の後に某政党の党名が続いている。
「女のこび」を売っているものの主語が書かれていない。おそらく、どこかの女性党首に対する揶揄なのだろうが、全国紙の品格も何もあったものではない。世に言う「セクハラ」である。
言い寄られている色男に擬されている**も、秋波で転ぶと見なされて不満であろうが、ここは、特定の政党と結びつけた議論ではないので党名を伏せている。すぐわかることである。
この見出しで次に問題なのは、「リベンジ」と言う言葉の意味が二種あることを見逃していることである。報道のプロたるものが、まるで、子供の落書きである。
一つは、ISなどのテロリストが大義名分としている「復讐」である。しかも、本来、神の手に委ねるべき復讐を、自分たちが行うという「聖戦」の意までこめた悪質な言葉である。
もう一つは、プロ野球に発して、若者社会ににはびこっている「再挑戦」と言う軽い、おどけた意味である。
このように意味が不安定なカタカナ言葉を、社会面トップ記事に重用するとは、それだけで、もってのほかの杜撰さである。
しかも、後者の意味は、一般の成人読者に浸透していないから、辞書など参照した上で悪質な意味ととられても仕方ないところだろう。以上が記事の真意なら、それを凝縮した見出しは、それなりに仕方ないかとなるが、本当に他に言い様はなかったのかと疑問が湧いてくる。、
毎日新聞は、政治の世界の勝った負けたを血の抗争と見ていると解されても良いのだろうか。また、テロリストの論理を支持しているのだろうか。
それとも、これは、大阪の選挙の話題だから、特別な因縁話があって、血が血を呼んでいると諷しているのだろうか。比喩にしても、もっと、穏当な言い方がありそうなものである。
と言うことで、今回は、不穏当で不吉な見出しに遮られて、記事内容に目がいっていない。見出しが記事本体を表しているはずだから、そんな杜撰な記事は見るだけ時間の無駄と言うことである。
校閲部は、誤字や事実関係のボロを拾うだけでなく、こうした深刻な齟齬を捉えて、本来の報道姿勢を回復してほしいものである。
当方は、一購読者であるが、全国紙を愛読するのは、紙面に掲載されるまで、記事の吟味が十分成されている、銭のとれる記事であると信じているからである。
担当記者の思いつきが、十分審議されないままに当方の手元に届くのであれば、紙形態の全国紙は、なくても良いと思うのである。
以上
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