今日の躓き石 君の名はの空の雲 著作権奇譚
2016/12/05
今回の題材は、「君の名は。」にまつわる著作権騒動である。
何よりも、関連メディアが、風評ばかり云々していて、きっちりした「著作権」の議論がされていないのは、大きな疑問である。
ただの素人である当ブログ筆者の見る限り、指摘されているのは、青い空に描かれている白い雲の一刷毛が、原典の盗用だと指摘されていて、それが著作権問題であるとの疑惑がとり沙汰されているように読める。通りがかりの素人の勘違いであれば、失礼する。
しかし、実際は、原典とされている「君の名は。」の画面がどのような特徴を持っていたと言われることもなく、問題となっている画像がとのように原典と類似しているか、根拠が示されていない。根拠不明の「似ている」程度の発言が、曖昧に語られているだけである。
はっきり言って、映画が著作権を主張できるのは、映画全体が新規の著作物であって、自身が著作権違反を犯していない新規の著作であることが大前提である。また、映画が新規の著作物であるとして、映画の全コマの隅々まで全部が著作権の対象と言うことはありえないのではないか。
例えば、目下問われているのが、青空に白い雲の光景であれば、過去の映画や静止画に同様の画像が描かれていないとの確証はないのではないか。
若し、過去、同様の青空と白い雲が一例でも登場していれば、「原典」は先例のある画像に対して、不法に著作権を主張していることになるように想うのだが、どうだろうか。
言い換えれば、青空に白い雲のような、どちらかというとありふれた自然の風景を複写した画面は、別に作者自身の特別の意図を込めた著作物とは思われず、従って、著作権の対象ではないのではないか。
是非、この点について、権威ある鑑定を求めたいものである。
そうでないと、自作絵画であれ、静止画であれ、動画であれ、公衆の目に、青空に白い雲が目にとまる著作物は、絶えず、当該動画の著作権なを侵害しているのではないかと畏れなければならなくなるのである。
一番懸念されるのは、このような、根拠のない、強引と見える主張が風評となって、動画などの作者の創作意図を萎縮させてしまうことである。これは、ある意味で、大勢の作家に対して、重大な著作権(自身の創作を自由に行う権利)侵害となっているのではないか。
根拠のない、というのは、被疑者となっている画像と、原典画像を並べて、どこがどうなっていたら、著作権侵害となっているか、明快に示して居ないからである。判断基準が示されていないと、新たな創作なのか、盗用なのか、自分で判断できないのである。
いや、そもそも、映画著作物の全篇全ての隅々までが著作権の対象であるという主張の根拠を示してほしいものである。そうなると、何かの創作を公開する際に、世界の著作権のある全映画を全コマ確認することになる。
そもそも、「ぱくり」レベルの低次元の問題を言うのなら、当該アニメの題は明らかに大昔の「君の名は」のパクリである。だからといって、「著作権」議論はありえないが、道義的に丸写しはまずいと思ったのか、「君の名は。」と「。」を付け足しているようである。
そのような回避の発想がどこから来たか。関係者一同自覚していたと言うことである。
であれば、同様に。青空に白い雲の画像が、著作権侵害を問われない条件を示していただきたいものである。
是非、今回の事態の法的な根拠を聞かせていただきたいものである。
それにしても、今回も、メディアのいい加減な報道姿勢が問題である。「疑惑」があるのなら、関係者に取材して、正当な指摘なのか、不当な「誣告」に当たるものか、知財権を専門とした弁護士の公式見解を確認して報道すべきであろう。責任ある報道を望みたいものである。
以上
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