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2017年1月

2017年1月23日 (月)

今日の躓き石 血塗られた都道府県対抗の栄冠

                              2017/01/23
 今日の題材は、毎日新聞大阪朝刊第13版スポーツ面の男子駅伝記事である。
 広島開催のはずなのに、「都大路の雪辱」とは、えらい場違いだと思ったが、どうも、京の恨みを広島で晴らしたというつもりらしい。それにしても、スポーツにふさわしくない、大時代の因縁話である。
 以下、半分余りの行数を費やして4区走者を手厚く顕彰したのだろうが、折角の栄冠が、たゆみない努力の成果でなく、血まみれの「リベンジ」だとされては、見出しのだめ押しのつもりなのだろうが、走者が天下に汚名を背負ったことになるので、気の毒である。

 今回は、署名を見ると女性記者の担当であるが、折角、当事者と親しく会話できるスポーツ担当記者が、染みついた先入観として駅伝の場に復讐に血塗られる光景を見ていたとすると、もったいない話であり、ことは重症だと思うのである。
 優れた選手は、目前の競争に全力を費やしているのであり、済んだ競争の恨み辛みで生きているとは思えないのである。個人競技でないチームプレーの世界で、ますます私怨は余計である。

 たまたま、同日夕刊で報道されているリベンジは、一部の野蛮な男が、正義の裁きの名を借りて、恥知らずな「制裁」行為をするものだが、この担当記者は、そのような例で示される「リベンジ」の賛同者なのだろうか
 つまり、この署名記事は、そういう言葉、そういう行いに列なるものなのである。

 事のついでに言うと、女性を不当に制裁している者達の行為は、具体的な法律違反がなくても罪悪だと思う。正義感だけでいうと、残らず公判に附して、被告として、罪状と姓名を天下にさらし、法の制裁を与えるべきである。それこそ、正しい意味での「リベンジ」である。

 担当記者が、因縁話で味付けすることの愚かさに気づいて、スポーツの神髄を伝えてくれるよう、更なる研鑽を促したい。

以上

2017年1月22日 (日)

今日の躓き石 陳腐な表現 「ハードル」

                            2017/01/22
 今回の題材は、どこの誰がどうしたという話ではない。世にはびこる陳腐な(誤)表現を歎いているのである。

 「ハードル」が上がったというのは、前途にある邪魔者を克服するのが一段と困難になったという意味のようだが、随分珍妙な比喩である。

 陸上競技のトラック種目で、走者がコース上の邪魔者に進路を阻まれていると見たのだろうが、実際は、ハードルに走者の足がかかって遅れることはあるが、ハードルで止まってしまうことは無い(はずである)。なぜなら、ハードルが越せなければ倒して通れるのである。別に、ルール違反でもなんでもない。ただ、飛び越えるのに比べて、大変遅くなるだけである。

 つまり、陸上競技で、ハードルは走者を止めるためにあるのではない。走者は、走力に加えて、いくつかのハードルをうまく飛び越えて短時間で走り抜ける技術を競うのである。また、ハードルの高さは決まっていて、越されたからといって、高くすることはない

 「ハードル」競技に対する誤解を広めないようにと、陸連から抗議がないのも、困ったものである。

 おそらく、最初に言い出した人が、聞きかじりで、誤解して唱えた「比喩」なのだろうが、その生かじりの言葉が、生かじりの積み重ねで蔓延しているのを歎くのである。言い出した当人も、後に失言を悔いたと思いたい。

 陸上競技から正しく比喩を引くのであれば、「バー」と言うべきだろう。高跳競技の「バー」は、なんとしても競技者に越されまいとする邪魔者であり、越されたら越せなくなるまで高くして越せなくなった所で競技終了である。「バー」は究極の勝者である。

 というものの、陸上競技で「バー」が高くなるのは、競技者の向上の反映であり、向上したと認められたから、それだけ、厳しい試練を与えているのである。時には、そういう見方も必要ではないかと思うのである。

 英語でバーの意味は沢山あるが、ここでは、行き止まりのしるしの横棒標識である。飲み屋のことではない。法律用語で"Complete Bar”というのは、例外なしの全面禁止の意味である。寺院の公開(Public)部分の端の低いところに竹の横棒をおいているのも、「立ち入りご遠慮ください」(立ち入り禁止)などと書いていなくても、そこから先に立ち入らないで欲しい(Private)の意思表示であり、簡単にまたいで入れるからといって、その主旨を無視してはならないのである。

 ということで、見当違いの比喩である「ハードル」は、消えてほしいものである。

以上

2017年1月20日 (金)

将棋談義 天段の勧め 加藤一二三九段に寄せて

                          2017/01/20
 今回は、将棋界の不世出の偉人である加藤一二三九段に寄せるものである。

 ご承知の方も多いと思うが、将棋界の段位は、長い間八段が最高であったが、やがて格別の業績を示した大棋士に対して、例外的に、八段を超える九段が認められたのだが、それが、いつしか拡張されて、そこそこの大棋士は、タイトル獲得などの積み重ねにより九段を名乗れるようになった。

 しかし、それでは、加藤一二三九段のような格別の業績を残した特別な棋士に対して、並の九段ではない、格別の棋士であるという格別の称号ではないと言うことになった。

 そこで提案したいのは、「天段」の新称号である。見たとおり、段位の呼び方であるが、(今度こそ)最高段位の主旨である。

 すぐ思いつきそうな「十段」は、かつて、将棋界のタイトルにあったし、囲碁界には今も存在するタイトル称号である。
 それ以外にも八,九の次が十だと、いずれ十一,十二となるかも知れないと思わせるのが難点である。それに対して、「天」は極上の極みであり、その上はないと感じさせる。いわば、究極の段位である。

 仮に規準を示すとすると、プロ棋士キャリアの通算勝数、敗数、何れかが一千以上、ないしは、対局数が二千局以上であることである。タイトル全冠制覇も「天段」て称揚する価値があるのではないかという声もありそうである。
 数で積み上げるのは、まことに素朴な指標であるが、長年に亘って現役にとどまり、かつ、相当の好成績を収めた時期がなければ、達成できない数字であることは、ご承知のことと思う。

 「てんだん」は、言うまでもなく、十段(Ten Dan)のしゃれでもある。

 中国語で、「天」は神様のことであり、「天段」の発音は、日本語の「テンダン」とは少し違うが、まあ、無理にカタカナで書くと「ティエントゥアン」であり、おぼえやすい程度に似ているので、国際性のある囲碁界にもお勧めしたい。(くれぐれも、タイトル称号で商標などにしませんように)

 と言うことで、(できれば、現役の間に)「加藤天段」と称揚することを提案するのである。

以上 

2017年1月18日 (水)

毎日新聞 歴史の鍵穴 非科学的な紹介と強引な見出し付け

 今回は、新年の記事であるが、見出しで示されている見解の裏付けとして、多くの研究者の労苦が的確に紹介、依拠されていないのを不満に思うのである。

 歴史の鍵穴
 朱の入手先 大和王権の成立が画期=専門編集委員・佐々木泰造 

          私の見立て☆☆☆☆☆                2017/01/18

朱の入手先 大和王権の成立が画期=専門編集委員・佐々木泰造
朱の入手先 大和王権の成立が画期=専門編集委員・佐々木泰造
朱の入手先 大和王権の成立が画期=専門編集委員・佐々木泰造

*非科学的な紹介
 今回は、一見科学的な議論を進めているように見せているが、滑り出しから感じが悪い。「激動期の日本列島の様相」などと物々しい言葉を連ねているが、当時の世相が「激動」していたかどうかは別として、関東以北どころか、中部地方すらほとんど語られていない記事に「日本列島の様相」と銘打っては誇大表示そのもので、速度第一、目立ち第一の新聞記事としてならともかく、全国紙の専門編集委員の歴史談義である月一連載の滑り出しとしては、何とも軽薄な感じしか受けなかった。

 そもそも、読者に記事の所説を提示すべき、大事なグラフにデータ出所とグラフ作成者の身元が書いていないのは、どういうことかわからない。元データを提供した方の名誉のためにも、的確に表示すべきだろう。

 文章の方も、叙述の視点が揺らぎ、しばしば主語が抜ける展開で、読者として目がくらむのである。

 冒頭の段で「研究プロジェクト」と銘打っているのだが、どのような組織のどのようなメンバーが参加して進めているのか、どこから研究費が出ているのか、どのように成果発表される予定なのか、書かれていない。以下の報告が誰の手で、いつ書かれたものか、きちんと書かれていない。疑問があっても調べようがない。

 そのように、最初の文で研究プロジェクトが活動していると書いた後、いきなり、著者の主観と思われる文が打ち出されている。

 当該プロジェクトが、成果報告として公開したものなのだろうか。国立法人である国立環境研究所のような公的機関や国公立に限らず大学法人の研究成果発表は、公開を義務づけられているので、このように出所を秘匿して「特ダネ」扱いすべきではないと思う。

 と言うことで、「非科学的な紹介」と書いている。

*最初の鍵
 背景説明らしいものが書かれているが、二〇年ほど前に二人の学者が連携して朱の由来を探り当てる研究を始めたと書かれていて、それが従来の化学分析では特定できず難航していたとの主旨である。
 特に書かれていないが、いずれかの時点で、画期的な技術革新により、研究機関の限られた設備予算内で硫黄の質量分析設備の購入が可能となり、かくして、(硫化水銀 HgSの主成分である硫黄の同位体分析ができるようになったのが、今回の発表の前提のようである。

 そこで、当記事は、主語無しの叙述に突然移動する普通、省略されている主語は一人称であるが、ここでは、三人称の両科学者の行動と考察らしい。従って、断定的な書き方は、研究者に由来するのだろうか。

 それにしては、34S同位体の含有率の標準値との偏差をプラス、マイナスといっているのが、突然、論証抜きで「中国産」、「日本産」との断定が書かれているのは、科学者の文章とは思えない。そこまでの測定データに基づいて、(省略主語の両研究者が) プラスは中国由来、マイナスは日本由来とする判断基準を決めのだろうが、その手順が押さえられていないので、読者にとっては唐突である。

*第二の鍵
 各地の考古学研究者の意見が書かれているが、ここに来ると、各地の遺物の同位体分析は飛ばして二者択一の断定が続いている。
 図示されているグラフに戻る。それぞれ、三箇所のデータ判断結果と共に提示されているが、どの程度のサンプル数であったか、そのばらつき具合がどうであったか押さえられていないので、測定値の信頼性が不明ということになる。
 と言うことで、以下、時期がはっきりしない古墳名と判断結果が羅列されているが、考古学の宿命で、絶対年代は明確でなく、近傍の遺跡との年代的な前後関係だけが比定されていると見ると、所詮、当初中国由来の朱を使っていたものが、その地域では、ある時期に日本由来に切り替わったようだという程度にしか思えない。
 ついでながら、日本由来といっても、三カ所のうち、どの産地かは特定されていないと思うのである。更についでながら、当時は、「日本」は存在せず、「中国」も分裂状態にあったから、これらの概念は、ここではあくまで地理概念なのだが、話が大きくなるので、指摘だけにとどめる。

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2017年1月15日 (日)

今日の躓き石 駅伝のリベンジを言い立てるNHKの不穏さ

                       2017/01/15
 今日の題材は、NHKG(総合)の女子駅伝実況アナウンサーの失言である。

 球技などの対抗戦で負けたときに「リベンジ」を言い立てるのはありがちであり、是非、戒めてほしいと思うのだが、今回は、多数のチームが競争する団体競技である駅伝で、負けた悔しさのあまり「リベンジ」を選手達が言い立てているとしたら、同様に嘆かわしいと思うのである。
 「リベンジ」は、世界に満ちあふれている血の復讐合戦に「直接」繋がる「悪いことば」である、だから、軽い気持ちで口にしてはならない、という認識か必要である。

 このような不祥事は、無造作に報道してNHKのことばとして多数の耳に届けるのでなく、報道せず、一方、選手や指導者達に、そのような不穏当な発言を慎むように助言してあげるのが、公共放送の使命ではないかと思うのである。

 こうした類いの、心得違いの不穏当な発言が、若い人たちの間に蔓延しているとは聞いていて、そのような「悪いことば」が未来の日本語になっていくのは、何としても食い止めたいと感じているから、微力は承知の上で、こうして、しつこく言い立てているのである。

 当方は、一介の視聴者であり、NHK会長でも、総理でもないので、NHKが当方の言う通りにする義務はないのだが、一考していただければ幸いである。

以上

2017年1月 6日 (金)

今日の躓き石 あぶない「地球の歩き方」に御注意

                      2017/01/06
 今回の題材は、毎日新聞大阪夕刊3版「夕刊ワイド面」のジャーナリストの中東取材記である。記事に記名されているから、別に伏せているわけではない。名指しの記事にしたくないからである。

 ここまで指摘してきたのは、スポーツ界の「リベンジ」汚染が冗談のつもりでも冗談では済まないと言うことだったのだが、ここに来て、本当に冗談ですまない用例が登場した。ここで批判すること自体が、身の危険に及びかねないのでほっとこうかと思ったのだが、この記事が英訳紹介されると、実際に当人の身に危険が及ぶ話なので、ここにご注意申し上げる。

 記事は、当該ジャーナリストがトルコ入国を拒否されたという話なのだが、記事の最後に、大変危険な発言が書かれている。
 「私はひそかにリベンジを誓った」とはっきり書かれている。
 毎日新聞に掲載されるから「ひそかに」もないものだし、「リベンジ」も、日本語の軽い意味であって、本気に報復の殺戮を意味しているのではない、つまり、テロリストの犯行声明ではない筈なのだが、何も考えずに文字通り解釈すると、大変物騒な発言なのである。

 どうか、誰か当人に助言して、こんな危険な言い方を二度としないように指摘してほしいものである。

 それにしても、毎日新聞の校閲部は、事実誤認以外はチェックしないのだろうか。今回のように、人命に関わりかねない失言も取り上げないとしたら、困ったものである。

以上

今日の躓き石 毎日新聞ラグビー報道の腐敗?

                      2017/01/06
 今回の話題は、毎日新聞大阪朝刊13版、スポーツ面の高校ラグビー準決勝2試合の報道である。

 それぞれの準決勝対決をそれぞれの担当記者が見事に描いているのだが、戦評の最後に、両記者揃って、申し合わせたように、敗退した高校チームに泥を投げつけるように、「リベンジ」に失敗した、つまり、相手を血祭りに上げる復讐劇の筈が、ふがいなく返り討ちに終わった、情けない試合だったと総括しているのにはげっそりした。あるいは、上司の指示だったのかも知れないが、ここでは、署名記者の責任と見ることにして、話を進める。
 まるで、両チームが過去の試合で対戦相手に負かされたことを根に持って、報復第一に血道を上げてきた、スポーツマンシップに欠ける斬られ役だと酷評しているかのようである。随分なものである。

 それは、担当記者というか、毎日新聞社スポーツ担当記者の勝手な決め込みであって、両高校では、負けて悔しい、次こそ勝てるようにチームを鍛えよう、とスポーツマンらしく、前向きに捕らえていたはずである。血まみれ、泥まみれの、何の創意もない定番記事は、いい加減になくしてほしいものである。書いているのは、多くの読者から質の高い報道として信用を集めている全国紙であることを忘れないで欲しい。

 特に、高校チームの戦評にリベンジ劇を書き立てることで、後輩や、更に後に続く子供達に、高校ラグビーとは、延々と続く復讐劇だと思い込ませることになりかねない。

 担当記者が、カタカナ語のリベンジにどんな意味を託しているかは知らないが、普通に意味を取ると、ここまで書いたようになるのである。それが誤解だというなら、誤解のないように言葉を選ぶべきである。誤解でないというのなら、仕事を変えてほしいものである。

以上

今日の躓き石 サッカー日本代表監督談話の光と影

                     2017/01/06
 今回の題材は、毎度おなじみの毎日新聞大阪朝刊13版のスポーツ面である(1月5日付)。今回は、紙面の1/4ほどの囲み記事で、監督談話がたっぷり、担当記者の責任で再構成したとは言え、当人の言葉で報道されている。
 「フィジカル」などとへんちくりんなカタカナ言葉でなく、具体的に語っていて、これは、本物だと思うのである。海外組も、「体の状態」の言葉遣いで代表されるように、丁寧に語ってもらっている。ただし、国を代表するプロ選手が、出番が少ないために、代表としての実戦に向けた体調管理、コンディションの頂点の持っていき方に失敗している、とはかなりの苦言と思う。

 以下、データを踏まえた戦評と改善策を聞いていると、突然「私はトライしたい」と意味不明な言葉で締めている
 いや、ラグビーではないから、このトライは得点したいというのではなく「試したい」という意味なのだろうが、「もちろん」という以上、「(とことん)追究します」ときっぱり言うところである。何しろ、トライ自体が、すでにできるだけやってみるという言葉なのだから、「そのようにやってみたい」では、政治家の言い逃れみたいである。何のために、独自の指標を取り上げたのかわからなくなる。

 いや、総じて、良く聞き取って、良く書けている。良い通訳が入っただろうし、随分聞き返したと思うのである。

 そして、運命の最終質問である。じゃあ、これからどうやって勝ち抜くのか。

 折角、丁寧に報道していたのが、「少しのメンタルと勇気のところが強くなり始めれば、いいチームになる」と意味不明の文にぶつかって、躓くどころか、膝をついてしまった。
 メンタルと勇気が別の概念だとしたら、じゃあ、メンタルって何のつもりで監督は言い切ったのか。何がどうなればいいのか、選手は理解しているのだろうか。

 そのあと、監督得意のポルトガル語とフランス語でキーワードが示されて、大見出しにも書き立てられて、先ほど匙を投げた文が無くても良い駄文だと気づかされるのである。
 こうして、明確に言い聞かせてくれれば、選手も何が足りないのか明確に理解できるのではないか。

 太古の時代、「ゲルマン人」クラマー氏は、日本人の心の財産は大和魂だ、魂を持て、と指摘して日本サッカー選手の気概を奮い立たせたという。
 くだけた言葉で言えば、誇りを持った「ど根性」と通じるかも知れない。
 別に太古の時代と同じ言葉を使う必要はないが、監督は、通じる言葉でかたり、選手はそこから何か感じ取ってほしいものだと、素人は思うのである。

以上

2017年1月 2日 (月)

今日の躓き石 サッカーの「フィジカル」 NHKの混乱

                         2017/01/01
 今回の題材は、NHKBSの新年特集のサッカー番組である。日本代表監督のインタビューを中心に、各試合のハイライトや選手の談話がたっぷり聞けたのだが、一つには、サッカー関係の新聞記事や報道でよく聞く「フィジカル」なるカタカナ語の意味が明快に聞けると思ったからである。

 まず、肝心なのは、現監督は、いつもフランス語で話しているので、普通、英語由来の形容詞-名詞化した言葉は、まずは口にしないということである。
 口にするとしたら、日本のメディアの影響を受けて、言葉が崩れたと言うことなのだが、実際に何と言っているが、通訳された言葉が被さっているのでよくわからない。まじめな話として、吹き替えするのでなく、字幕にすべきではないか。フランス語を解する人は限られるかも知れないが、生の言葉を聞きたいものである。

 ちなみに、いきなり「フィジカル」と聞こえたが、これは、「フィジカルコンディション」と言っていたのであって、日本語では、普通は、単に、コンディション、なり、体調というものである。身長、体重の話ではないのである。言葉を足すことで、意味がぼける誤訳の好例である。また、海外組のレギュラー落ちについて、泣き言を言っているわけではないのであった。

 ただし、監督は、オーストラリアチームの評価として、パワフルで体格が大きいとちゃんとした言葉で喋っているのである。それに対して、直前のNHKのナレーションは、「フィジカル」と言いながら示すのは身長のデータである
 つまり、この部分のナレーションを書いた誰かにとって、「フィジカル」は、即ち、身長、体重と言った体格である、と解されるているようである。この評価要素に差があると言っても、身長は伸ばしようがないから、言うならば試合する前から、負けていることになる。

 後ほどの再戦の時、監督は、ゴール前の空中戦では、背の高い方が随分有利だし、それは、変えようがないので、ゴール前に入らせない、と言う明確な戦略を指示していて、当然とは言え、大変有効だったということである。

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