今日の躓き石 サッカー日本代表監督談話の光と影
2017/01/06
今回の題材は、毎度おなじみの毎日新聞大阪朝刊13版のスポーツ面である(1月5日付)。今回は、紙面の1/4ほどの囲み記事で、監督談話がたっぷり、担当記者の責任で再構成したとは言え、当人の言葉で報道されている。
「フィジカル」などとへんちくりんなカタカナ言葉でなく、具体的に語っていて、これは、本物だと思うのである。海外組も、「体の状態」の言葉遣いで代表されるように、丁寧に語ってもらっている。ただし、国を代表するプロ選手が、出番が少ないために、代表としての実戦に向けた体調管理、コンディションの頂点の持っていき方に失敗している、とはかなりの苦言と思う。
以下、データを踏まえた戦評と改善策を聞いていると、突然「私はトライしたい」と意味不明な言葉で締めている。
いや、ラグビーではないから、このトライは得点したいというのではなく「試したい」という意味なのだろうが、「もちろん」という以上、「(とことん)追究します」ときっぱり言うところである。何しろ、トライ自体が、すでにできるだけやってみるという言葉なのだから、「そのようにやってみたい」では、政治家の言い逃れみたいである。何のために、独自の指標を取り上げたのかわからなくなる。
いや、総じて、良く聞き取って、良く書けている。良い通訳が入っただろうし、随分聞き返したと思うのである。
そして、運命の最終質問である。じゃあ、これからどうやって勝ち抜くのか。
折角、丁寧に報道していたのが、「少しのメンタルと勇気のところが強くなり始めれば、いいチームになる」と意味不明の文にぶつかって、躓くどころか、膝をついてしまった。
メンタルと勇気が別の概念だとしたら、じゃあ、メンタルって何のつもりで監督は言い切ったのか。何がどうなればいいのか、選手は理解しているのだろうか。
そのあと、監督得意のポルトガル語とフランス語でキーワードが示されて、大見出しにも書き立てられて、先ほど匙を投げた文が無くても良い駄文だと気づかされるのである。
こうして、明確に言い聞かせてくれれば、選手も何が足りないのか明確に理解できるのではないか。
太古の時代、「ゲルマン人」クラマー氏は、日本人の心の財産は大和魂だ、魂を持て、と指摘して日本サッカー選手の気概を奮い立たせたという。
くだけた言葉で言えば、誇りを持った「ど根性」と通じるかも知れない。
別に太古の時代と同じ言葉を使う必要はないが、監督は、通じる言葉でかたり、選手はそこから何か感じ取ってほしいものだと、素人は思うのである。
以上
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