今日の躓き石 近所迷惑な「頂点の夢」 社会人野球
2017/02/09
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊十三版社会面の「野球のかたち」なる連載記事である。
内容としては、高校、大学などで野球に集中していた人たちが、一旦、諦めて離れていた「頂点の夢」に今また取り組むという話なのだが、そこに「学生時代のリベンジ」を目的に参加しているというのは、何とも、気の毒な語られ方である。
それぞれの語り手は、何の悪い意味もなく、ただ、気の効いたはやり言葉と思って、この忌まわしい言葉で語っているのかも知れないが、それならそれで、記事の筆者が、言葉遣いを治して上げれば、たとえその時は不愉快でも、これからの一生「復讐愛好家」と呼ばれないものに変わっていたはずである。
ここで、近所迷惑というのは、すぐ左に、この忌まわしいカタカナ言葉と同じ言葉が登場しているからである。ストーカー殺人に伴う重罪を呼ぶ言葉と同じ言葉を、ここで無頓着、無造作に使っていることの不具合さに気づいていただければ幸いである。
当ブログ記事筆者が、「リベンジ」狩りに本気で取り組んだのは、実は、この事件が契機であり、このような勝手な言葉にまつわる犯罪行為を憎んでいるからである。格好を付けて「リベンジ」、「仇討ち」、つまり、天に恥じない、正当な報い、と言いつつ、実は、勝手な暴力なのである。
ちなみに、当記事は、他にも推敲不足で不用意だと思うのが、その直前の「球歴や野球観は三者三様」と書いているところに現れている。「三者」が誰のことかわからないのは別の話として、「球歴や野球観」は当然ながら千人いれば千人それぞれ異なるものなので、もったいぶって各人各様というのは、字数の割に意図不明である。
また、「不完全燃焼」というのも、スポーツ関係報道の常套句としても、良く噛みしめれば、かなり不適当な比喩だろう。
どんな大会でも、原則としてただ一チームしか立てない頂点に自分のチームが立てなかったとしても、自分なりに最善を尽くしていれば、悔いも恨みも残らないはずである。
不完全燃焼とは、燃え尽きたかったのに、大事な酸素が来なかった。くやしい、けしからん、と誰かよその人のせいだと言うつもりかと思わせる。
たまたま、朝刊読者投書で、新聞(全国紙)は「言葉遣いの教科書」と持ち上げられているのだから、ここでやり玉に挙げられるようなつまらない書き方でなく、教科書になるような記事を望むものである。
以上
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