私の本棚 古墳の古代史 東アジアのなかの日本 3/4
森下 章司 ちくま新書 1207
私の見立て★☆☆☆☆ 2017/03/01
*第二章ものとひとの往来
銅鏡、特に「神獣鏡」の出所について、中国工人の渡来、地場生産を説く意見に対して、著者は、それなら、ほかにも多大な影響があったはずだが、何の提言もないと不満げである。それはそうだが、学説として唱えるには、具体的な論拠が不可欠である。
これに対して、当方は、素人の発想を言い立てる立場であるから、論拠なしに提言できる。
同時代の技術革新として、「前方後円墳」のような巨大墳墓の構築技術が上げられる。これには、核心として土木建設に関する専門知識が必要であり、設計構想、線引き縄張りには、幾何学や測量技術が必要である。
以下の墳墓造営において必要な工学技術は、無限とも思えるほど膨大であり、そのような大規模で革新的な技術の移管には、少なからぬ技術者の渡来が必要である。製鏡技術者以外に多くの技術者が渡来したと見るべきではないか。
画期的な事項を例示すると、呉の滅亡時点がある。すでに、呉船は、夷州、儋州での徴兵と称して、屋久島、種子島に来航していたと思われるから、呉の頽勢を見た工人たちが、伝え聞く楽天地に亡命したかも知れない。
優れた工人は、所属王朝にとって無二の資産であるが、亡国に近い事態になれば、優れた技術者が、いち早く脱出するのが定則である。
いや、以上の仮説に対して、何も論拠となる証拠はない。単なる思いつきである。
古墳時代開始時期のずり上げは、このごろとても気になるのである。
未完
« 私の本棚 古墳の古代史 東アジアのなかの日本 2/4 | トップページ | 私の本棚 古墳の古代史 東アジアのなかの日本 4/4 »
「歴史人物談義」カテゴリの記事
- 新・私の本棚 古代史検証4 飛鳥の覇者 推古朝と斉明朝の時代 追記 2/2(2022.04.11)
- 新・私の本棚 古代史検証4 飛鳥の覇者 推古朝と斉明朝の時代 追記 1/2(2022.04.11)
- 私の意見 歴博展示品「後漢書東夷伝復元複製」の怪(2022.03.05)
- 私の意見 御覧「所引」出典の考察 東夷伝探し 補充(2022.05.08)
- 新・私の本棚 小畑 三秋 『前方後円墳は卑弥呼の都「纒向」で誕生した』(2022.01.21)
「私の本棚」カテゴリの記事
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 3/3(2022.01.15)
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 2/3(2022.01.15)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 8/8(2021.12.23)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 7/8(2021.12.23)
- 私の本棚 3 岡本 健一 「邪馬台国論争」 改頁版 6/8(2021.12.23)
「倭人伝の散歩道稿」カテゴリの記事
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 3/3(2022.01.15)
- 「古田史学」追想 遮りがたい水脈 1 「臺」について 増補再掲 2/3(2022.01.15)
- 私の意見 英雄たちの選択 ニッポン 古代人のこころと文明に迫る 1/17(2018.02.03)
- 魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 4/4(2021.03.14)
- 魏志天問 1 東治之山~見落とされた史蹟の由来 再掲 3/4(2021.03.14)
« 私の本棚 古墳の古代史 東アジアのなかの日本 2/4 | トップページ | 私の本棚 古墳の古代史 東アジアのなかの日本 4/4 »
コメント