今日の躓き石 毎日新聞 選抜のリベンジ報道の恥
2017/03/25
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊第13版のスポーツ面、選抜高校野球の試合評である。といっても、地の記事でなく、見出しなので、探す必要はない。パッと目に入る。
さて、念入りに解きほぐすと、この「リベンジ」見出しは、一方のチームが相手のチームに無法な危害を加えられた過去の被害を、天に代わって復讐したという報道である。記事の中身には立ち入らない。見出しは、記事の要点を取り出しているので、それだけで、誤解の余地なく意味のとれるものである、という編集がされていると理解して話を進める。
言うなら、担当記者は、かのチームが当然の行い、正義の行いとして堂々と血祭りに上げたと理解して、そのように報道したと言うことであるが、これは、明治以降、「仇討ち」なる復讐が正義の行いでなく、犯罪になったのに気づいていないのである。決して、ここに報道するようなものではなく、もし、真に受けるなら、直ちに刑事告発してしかるべきである。
まして、そのように大義名分があっての犯罪行為であれば、一般読者に理解しにくいカタカナ語で書き立てるのでなく、ちゃんと、大人の言葉で書くものではないか。
以上のように、この見出しは、(私の理解する)報道の本質に反しているし、正しい言葉遣いを守るという(私の理解する)全国紙の大義に反していると思うのである。
少し、冷静に還ると、出場チームは、共に、過去、ないしは現在にとんでもない犯罪を行ったと非難され、このように全国紙朝刊で告発されたら、終生消えない汚点を背負うことになるのである。
当たり前ただが、高校野球に、時には、遠いご先祖様まで取り込むような因果応報の物語は必要ないのではないかと思うのである。現世代には、過去の罪業も栄光も関係なく、自分たちの力で戦ってもらいたいものである。
記者は、全国紙記事を自在に書くことを許されているという自分の持つ力を認識していないのではないか。
以上は、全国紙で署名記事を書くことを許された担当記者の罪であり、いくら署名記事であっても、そのようなとんでもない見出しを止められなかった編集、校閲担当の罪である。
むしろ、その過失の意義は、日頃、各言葉の意味をよく吟味する、職業上の訓練を怠っていて、しかも、それに気づいていないことにある。全国紙に相応しい組織的な機能が存在せず、組織的に守るルールが存在しないと言うことを疑われる。全国紙に対する信頼が大きく揺らぐのである。
というように、いくら閑散ブログとは言え、真っ向から手厳しい批評を浴びせるのは、このようなとんでもないカタカナ語が、一日も早く絶滅することを望んでいるのであり、そのためには、会社ぐるみで、担当記者が一生かけて更生できるように支援して欲しいのである。
当方も、新聞面をタイトルに明記するなど、多少見つかりやすくしている。
いや、別に社告で謝罪しろとか、訂正記事を書けと言っているのではない。当方は、一回の定期購読者であって、何の権威もない。発言の支持者も、特にない。
以上
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