YouTube著作権騒動 素人動画の迫害を憂慮する
2017/04/05
今回の題材
大道芸人ひろとの軌跡 1 京都 2009春 リマスター Juggler Hiroto 1 Kyoto
事態の展開を見ると、どうも、公開以来二年近くなって、Sony Music Entertainment (Japan) Inc. が管理している著作物である楽曲の一部が、YouTubeの電子的手段により、当動画の音声部から検出されたらしい。
*広範な影響の危惧
本動画の公開が停止しても、当方の動画全体の一部であり、同一公演の別バージョンを公開しているので、特に影響はないと感じている。(当動画の支持者に対して、迷惑をかけるのは申し訳ないが)
ただ、今後とも、自身が取材した路傍風景の動画を公開する際に、それこそ耳を澄まして背景音を聞き取らなければ、このような心外な事態に晒される危険があるとしたら、それは、大変不愉快としか言いようがない。
*映り込みの問題
ちなみに、誤解を避けるために説明すると、当動画は、自身の制作した動画に市販音源を使用したものではない。それなら、純粋に楽曲の著作権侵害を問うことになる。
本件は、あくまで、公開の場で撮影された動画の音声部に関する議論である。
大事な点なので繰り返すと、当動画が、主張されている楽曲そのものを音声部としているのならともかく、下記したように、一連のジャグラー演技の一部の背景としてその場で聞けたものが、特に作為することなく記録されているに過ぎない。
*使用制限不承知
当方は、公開の場所での演技を通りすがりに記録したものであるが、当日、使用した楽曲を明示されたわけでなく、撮影、録音に関する制限を示されたものではない。知らされていないことは知らないとしか言いようがない。
*契約の範囲と消尽
当方は、もし、楽曲の著作権者が、このような形で映り込むことを許可しないものとすれば、ジャグラーとの間で契約を締結して、公演の際にそのように明示させるべきであると考える。契約内容について、局外者に文句を言うのは、不法行為であると考える。
言い方を変えると、この程度の楽曲の使用制限については、楽曲の購入者との間で完結しているものと理解している。
*不法と思われる権利行使
ということだが、このような内容の反論を申し立てることは想定されていないようなので、Fair Useの類いとしているが、当方は、指摘されている著作物を使用すると意志決定して動画を撮影したものではないから、このような強硬措置は、お門違いである。
一応指摘させていただくが、少なくとも国内法で、本動画が、つまり、本動画制作者がSMEの管理する著作物の著作権を侵害されているかどうかについては、国内法に基づく鑑定が必要と考える。
もし、SMEの主張が国内法上有効でなければ、SMEは当動画制作者の著作権行使を不法に制約したことになる。
この点については、多数の動画制作者の関心も高いと思うから、知財権司法の場での判断を仰いではどうかと考えるものである。
異議
1.本動画に記録されているのは、ジャグラーの演技であり、音声情報は、映り込んだものに過ぎず、主たる要素は、ジャグラーの演技と語りである。
2.本動画は、ジャグラーの著作物の記録であり、その著作物の音声部から一部情報を削除するのは、他人の著作物の改変となるので、実行できない。
3.著作権者は、ジャグラーとの間の契約で、第三者が録音する可能性のある場所での使用を禁止していないのであろうから、たまたま通りかかった善意の第三者がジャグラーの演技を記録、公開した際に、その著作物の映り込みがあったとしても、動画制作者の著作権を侵害することは不法である。(動画制作者は、当該契約の局外者であり、言う相手を間違えている)
SMEは、日本国法人であり、専門の著作権管理部門を有しているはずだから、このような強制的な公開差し止め行為は、手続き上不法であり、つまり、国内法上疑義があることを承知しているはずである。
以上
どうなるかは知らないが、SMEほどの巨大企業が、YouTubeの機能に全幅の信頼を置いて、自身は、このような不適切な事態の再発防止に取り組んでいないのは、何とも、不可解である。
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