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2017年5月 5日 (金)

私の本棚 出野正 張莉 「倭人とは何か」 2/6

        明石書店    2016年12月刊
        私の見立て★★★★☆    2017/05/04 2019/01/29

 何故か、肝心の表題を誤記していた粗忽ノ失礼を深くお詫びして訂正する。

第6章 4 「倭」の意味と音について
*仮説批判
 「倭」と言う文字が、黥面文身の風俗に由来しているという仮説を展開されているが、まずは、字義からみた方が順当ではないか。少なくとも、白川静氏の「字統」で、「倭」に示されている、稲穂をかざした女性という字義は、本旨に見える。

 また、魏志倭人伝に記録された夷蛮風俗の文身、生食、断髪、貫頭衣などの羅列もさることながら、言葉を知らないから「文化」を知ることもできず、まして、女王を仰ぐのは、中華文明から見て、全く問題外であり、「奴」の字をもらったのも、当然であろう。
 これを
「蔑称」と言うと不当な感じがするが、まだ「人」となっていないのだから、「奴」と呼ばれても仕方ないことではないかと思われる。また、文明に浴していないものは、「人」ではないから、ことそら貶める必要などないのである。

 ちなみに、後年、中華文明に目覚めた倭国が、このような「雅」でない記録から逃れたいというのが、国号改定の一因かと思われる。

 倭の旁である「委」が、稲穂をかざす女王政権を表現していて悪いというと、「魏」の国号をあわせて批判したことになりそうだ。

*詩経考察
 詩経「四牡(しぼ、つまり、牡馬四頭)」に「四牡騑騑 周道倭遅」とあり、文脈からして、馬車が、牡馬四頭立てで疾走しても、周の道(官制街道)は行けども遠い、という意味であろう。
 この詩文は、周朝の宮廷儀礼で、奏楽に載せて朗唱されるものであるから、倭遅とは、周道を譏るものではないはずである。「倭」は特に悪い意味ではないはずである。

 因みに、詩経「四牡」にては、異稿も伝わっていて、「周道倭遅」が正しいと断定できないことは承知しているが、古来、この形式で詩句が伝えられていることから見て、「倭」の用例として有効と思われるのでここに採用した。
*白川静「詩経雅頌」1(東洋文庫)から引用。

未完

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