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2017年5月

2017年5月29日 (月)

今日の躓き石 NHKBS-1の罪深い軽薄コメント「オールラウンダー」

                           2017/05/29           
 今回の題材は、NHKBS-1の「応援!日本スポーツ NHK杯体操男子」なる番組である。

 全体として、軽薄なコメントを避けた、味合うべき好番組なのだが、大変困ったことに、そのような正しかるべきNHKBSの体操のコメントに、できの悪い「カタカナ言葉」が時として飛び出すのである。実況放送ではないので、編集で排除できると思うのだが、そのまま流しているのである。

 「オールラウンダー」など、英語などではない愚劣なカタカナ言葉であり、愚劣なカタカナ言葉は、NHKBSが使うべき言葉ではない。


 
そもそも、6種目ある体操種目全体に亘って、国内最上位を占めようかという高得点を取る選手に対して、「器用なだけの何でも屋」というのは、大変な侮辱だと思うのである。

 もしこのカタカナ語がアメリカ「英語」起源としても、せいぜい、口から出任せのスポーツジャーナリズムの産物であって、中学生でも知っている文法を外していて、英語としてお手本にしてはならないものと思うのである。

 また、元々は、アメリカのプロスポーツで、力も技もスピードも、と言うような普通両立しない特徴を、得意分野以外も、下手なりに併せ持っていることを言うのだろうが、言うならば、身体がデカいのに、動きが素早いなどのように、......にしては、と言う感じではないかと思うのである。
 いや、これは、一介の素人の意見だから、大した物ではないのだが、いずれにしても、今回やり玉に挙げられた体操選手のように6種目全部で上位というような、超絶的な技術に使うべき言葉ではないと思う。

 と言うことで、この言葉は、NHK推奨のコメント用語として広まるのである。NHKBSが、軽薄で思いつきの出任せコメントを電波に乗せるようだと、誰が、言葉の護り人なのかとか、受信料返せとか言いたくなるのである。

以上

2017年5月22日 (月)

今日の躓き石 不可解なリベンジ ゴルフ 女子トッププロの迷言

                         2017/05/22

 本日の題材は、(例によって)毎日新聞大阪朝刊第13版スポーツ面である。

 三季ぶりの優勝に有頂天になったのか、優勝談話が乱れていて、それを、毎日新聞の担当記者が、愚直に引き写したものだから、とんだ恥さらしになっている。トッププロには、それに相応しい言葉遣いがあって良いと思うので、ここに批判する。

 先月、トップで走っていながら逆転負けしたことを引き合いに出して、今回「リベンジができた」と言っているが、元々、復讐の血祭りという忌まわしい意味の言葉が、再挑戦という第二の軽い意味で蔓延していて、それだけでも、一般読者の理解を拒否していて、混乱しているのに、今回は、そのどちらとも違う「誤用」であり、二重、三重の意味で、不適切な言葉である。
 今後、こうした暴言が出ないように自戒していただきたいものである。先週の男子プロの暴言と合わせて、日本のゴルフ界には、こうした暴言がはびこっているのだろうか。

 そして、最後にダメ押しが、肝心のゴルフに関する言葉の誤用である。

 「パター」に「自信」とは、どんなことを言っているのだろうか。技術を磨くのならわかるが、道具に自信を持てない(現在の)心境がよくわからない。

 今回の勝利で、結構な金額の賞金を得たはずだから、せいぜい良いパターを買って自慢したい気持ちになるのもわかるが、くれぐれも、トッププロに相応しい技術とそれを支える強靱な心、そして、それにふさわしい言葉遣いを磨いて欲しいものである。

 それにしても、全国紙で署名記事を書く記者たるもの、結構長時間のインタビューだ゜ったと思うから、プレーヤーの失言をやんわり指摘するなり、問題発言の直接引用を避けるなり、プレーヤーの失言をさらし者にしない書きようがあったと思うのだが、実際は、そのまま紙面に書き立て、あわせて悪い言葉を世に広げるなどは情けないと思うのである。

 今回の記事の地の文では、ちゃんと、「パット」が打ち切れないと技術評しているのだから記事として「ちぐはぐ」であり、どう見ても、不出来なのである。

以上

2017年5月16日 (火)

今日の躓き石 ゴルフ世界3位の失言 リベンジ

                      2017/05/16
 今回の題材は、毎日新聞大阪5/15付け夕刊第3版のスポーツ面記事であるが、共同通信の配信記事であるから、毎日新聞が主犯というわけではない

 と言うことで、見過ごそうとしたのだが、その後、発言者が世界ランキング3位になったとの報道に気づいたので、この機会に失言を指摘して、今後世界のマスコミに対して恥をかかないように忠告するものである。

 発言の趣旨は、当日の特定のコースでのプレーが、前日の失敗を教訓にして改善されたという感慨であり、その主旨自体、特に文句をつけるものではないのだが、言葉として「リベンジができた」と失言しているので、大いに失望したのである。

 プロゴルフの世界でトップ3の地位に上り詰めたのに、言葉遣いは俗悪では、もったいない。特に、カタカナ語を、元来の英語の意味を構わずに、軽い気持ちで誤用しているのは、そのまま英訳されれば、真意を誤解されるものである。軽い気持ちの誤用は、本気の言葉より、たちが悪いのである。

 当人の真意は、先ほど書いたように、鬱憤に耐えて、前日の失敗を繰り返さなかったという意味なのだろうが、リベンジは「復讐」であり、「天誅」であり、「血の報い」である。世界を震撼させている大事件の多くが、やられたらやり返す、と言うものであるから、大国の勝手な制裁や制裁された側の報復の応酬に加担しているものである。

 他に言い方はあるのだから、このカタカナ語を口にしないよう自戒して欲しいものである。
 プロスポーツの選手は、発言が報道される機会が多く、子供達を含め、多くの視聴者、読者がお手本にするものだから、特に慎重であって欲しいのである。

以上

2017年5月10日 (水)

今日の躓き石 ハードルへの誤解蔓延を憂う

                          2017/05/10
 今日の題材は、毎日新聞大阪夕刊第三版「夕刊ワイド面」のニュースアップなる大型コラムである。

 いや、紹介されている人物やその業績に何も異議はないのだが、担当記者が、開発者その人が多大な困難に立ち向かったことを形容するのに、仰々しく「ハードルは幾重にも重なった」と言い放っているのに抵抗を感じたのである。

 元々、比喩の「ハードル」が、見当違いの誤解であることはいうまでもない。陸上競技のトラックに並べられるハードルは、走者が飛び越えられる高さであり、足が掛かればすぐ倒れてしまうものなのである。いや、そもそも、ハードルを飛び越えずに突き倒しても良いものなのである。だから、人が直面する、時として克服できない難関とはまるで違うものなのである。
 私見であるが、報道関係者の比喩辞書から「ハードル」を抹消すべき時が来ているのではないかと思うのである。

 特に、今回、ものものしく「幾重にも」と書いているのは、失笑してしまう。元々、ハードルはコース上に何台も置かれているものであり、殊更に「幾重にも」と言うのは何の意味もない冗句になっている。
 担当記者が不勉強なのか、鈍感なのか、それにしても、誰も紙面に掲載されるまでに不適当な比喩を指摘しないのは、まことにもって不都合な話ではないかと思うのである。言葉の本意を確認せずに、的外れな比喩を自己流に拡張して世に広げるのは、全国紙の有力記者に相応しい所業とは思えないのである。

 因みに、陸上競技で越せないように設定されるのは、高跳び競技の「バー」である。高跳び競技のバーは、クリアされるたびに高くされ、誰もクリアできなくなったら、その際の競技が終了するというものである。このあたりは、中高生でも授業で習うものではないだろうか。それはさておき、このような成り行きは、世間の荒波に、多少なりとも相応しいものではないかと思うのである。

 バーの意義は、日本文化にも同様に浸透していて、寺社で、参詣者の立ち入りを制限する場合には、特に注意色など塗られてない素の竹棒などを水平に渡して、意思表示しているほどである。ただし、簡単にまたげる「バー」は、示された意図が読み取れなければ、軽々とまたげるものであるから、例えば、異文化に属する外国人には、全く通じないのである。

 言葉の誤解、誤用は、世間に広がってしまえば、大変な努力をもってしても駆逐できないのであるが、良識ある言葉の護り人たる毎日新聞記者は、以上の趣旨を別途確認して理解の上、ハードルでなくバーを紙上に掲げるべきである、などと、一購読者は思うのである。

以上

 

2017年5月 4日 (木)

私の本棚 奥野 正男「ヤマト王権は広域統一国家ではなかった」

  奥野正男     JICC出版局 1992年
私の見立て★★★☆☆        2017/05/04

*密かな正論
 本書に関して、個人的な感想を、刊行後25年を経ている現時点でことさらに申し立てるのは、端的に言えば、当ブログ筆者がこれまで国内古代史に関して、不審に思っていた点に、鋭く異議を唱えているのに共感するからである。

*銅鏡配布論批判
 著者は、1990年代初頭の学会定説に従い、「三角縁神獣鏡」が魏鏡との仮定に基づいているが、それでも、当時小林行雄氏の創唱した、「山城椿井大塚山古墳の被葬者が、ヤマト王権の配下で王権が支配する各地の首長に銅鏡を配布していた」とする説に強く反論している点に共感するものである。
 考古学の成果である発掘物の考証を「日本書紀」の著述に合わせて解釈させることに、史学として早計ではないかと疑念を呈しているとも言える。

*墳墓規模論批判
 また、現在の堺-古市-巻向の各地に配置されている大規模墳墓が、(同時代)「ヤマト」の支配者であった天皇家の墳墓であり、その権力が広く喧伝されていて、世に卓越していたことを、それぞれの墳墓の規模で表していた」とする説にも、的確な反論を加えている。

 当方は、「遺跡、遺物は、今も、厳としてそこにある」が、『その解釈を「日本書紀」の著述に合わせて案配させることは、史学として疑問がある』という見方と思うのである。つまり、史学会の良識として伝えられているように、考古学成果を文献解釈に沿わせて解釈する際には、安易な前提、安易な図式の適用を、極力避けねばならないと感じるのである。

*学問の王道
 以上の批判は、考古学の手法に従い、各地の遺跡とそこから発掘された遺物の精査に基づく主張なので、定説に反するからと言って、軽々しく退けられるべきものでないのは言うまでも無い。学会の衆智を求めて、広く議論すべきなのである。それが、王道というものである。

*共感と尊敬
 こうした批判は、当ブログ筆者が、各種著作に基づいて推論を試みているのとは、主張の方向が似ていても、その次元は大いに異なるのである。
 当方は、そうした堅実な論考と似通った意見を独自に提示したことに、個人的な満足を感じるのみである。

*定説の壁慨嘆
 それにしても、このような卓説を知らないままに自説を言い立てる不遜はともかくとして、かくかくたる正論が「定説の壁」に阻まれて世に広まらないことを嘆くものである。

以上

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