今日の躓き石 タイム「スリップ」に注意 広がる失言 名人戦
2017/06/11
本日の題材は、毎日新聞朝刊掲載の将棋名人戦観戦記である。
いや、別に、観戦記者が失言しているのを、ことさらとがめ立てしようというのではない。プロの文筆家として、軽率に過ぎるので注意しているだけである。
ここに、「タイムスリップ」とカタカナ語が当然のごとく出てきて、読者に趣旨が伝わっていると勘違いしているようだが、カタカナ語の例に漏れず、この言葉は、一定した解釈が浸透していないから、観戦記者の友達でもなんでもない読者の大半にとって、何のことかわからないのである。観戦記者の造語とは思えない書きぶりなので、どこかで、拾ってきたカタカナ語なのだろう。
ここで、「タイムスリップ」と言っているのは、カタカナ語のもととなっている英語で解釈すると、別の時間に「意図したわけでもなく」移動して、大抵は「帰ってこられない」現象を言うはずなのである。
これに対して、別の時間に「意図して」移動して、大抵は「帰ってくる」現象は、タイムトラベル ないしは タイムトリップなのである。
今回の話は、写真や動画で見知っている観光地に出かけて、別の時間の気分を「意図して」味わっているのだから、タイムスリップと言えない可能性が高い。
と言うような思案は、プロの文筆家としてカタカナ語を使うときのたしなみではないのだろうか。
世間に出回っているカタカナ言葉は、大半が、誤解やこじつけであり、むしろ、誤用の場合が多いように見かける。
プロの文筆家として、こうした言葉を、全国紙の紙面で安易に使って、誤解、誤用の被害者を広げるのは、随分、軽率に過ぎるように思うのである。
いや、当方は、一介の購読者であって、別に、観戦記者に指図する立場にはないのだが、気づいた以上は、率直に気づいたとおり指摘するのが、当ブログの棋風なのである。
そうそう、意識して避けていたが、この言葉は、古典的なSF用語であり、現実世界に起きることではないので、経験を通じて学ぶことのできないものなのである。
以上
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